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2005年12月

2005.12.31

インスパイア-2-

2005年の流行語大賞は逃したようですが、「インスパイア」という言葉から、いろいろなことを考えました。

前にも書きましたが、先行する作品にインスパイアされて、新しい作品を生み出すことは、あらゆるジャンルの芸術で行われていることで、何ら問題はありません。しかし、それが新しい芸術として賞賛されるには、オリジナリティが加えられていなければなりません。

イギリスでは、音楽、小説、映画、ミュージカル、コメディなどの分野で、十年に一度くらいのペースで、突然、すごい才能が登場します。それらは、オリジナリティがあって新しくて、そして面白く、世界的な賞賛を浴びる。イギリス人は、そうしたものを非常に大事にして、それを何度も味わいます。

しかし、その一方で、その「十年に一度」の間は、とても退屈です。次の才能が出てくるまで、ひたすら同じものを繰り返し楽しむだけ。だから、テレビの番組欄を見ても、再放送や、同じフォーマットを踏襲している番組が、やたらと多い。

退屈なのを我慢しながら、十年に一度、新しい才能が出てくるのをひたすら待つのか、それとも、日本のように、ややオリジナリティには欠けるものの、そこそこ楽しめるものが、切れ目無く供給されている状態を良しとするか?

・・・なんてことを大晦日に考えてみました。元旦の更新は休みます。1月3日から再開しますので、2006年も引き続き、よろしくお願いします。

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2005.12.29

ウィキペディア考-4-

ウィキペディアとグーグルの関係は、ちょっと微妙なものがありますよね。

グーグルは、あるキーワードにヒットしたサイトを表示してくれるものの、それらは専門家の作ったものから一般の人の作ったものまで、つまり情報の信頼性の高いものから低いものまで、一緒くたに示されます。だから、欲しい情報にたどり着くまでには、ある種の検索スキルが必要となります。

一方、ウィキペディアは、書き込みをする人たちによって、ある程度の合意が形成されたものを公開する(ことをめざしている)ために、それほどのスキルがなくても、知りたい情報がえられます。

ただし、現状のウィキペディアは、それぞれの記述が信頼性に欠けるために、編集者や専門家によるチェック・システムを導入しようとしています。

ところでグーグルは、昨年12月から、米英の5つの図書館の蔵書をスキャンして、その一部を閲覧できるようにするプロジェクトを進めています(ただし、アメリカの出版社や作家の団体は、「著作権侵害に当たる」と主張しているため、このプロジェクトは、現状ではストップしています)。

ウィキペディアは、記述の信頼性を高めるために専門家の参加を促し、一方グーグルは、専門家が書いたものをスキャンして読めるようにしようとしている・・・。この競争は、どちらが勝つのでしょうか?

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2005.12.27

ウィキペディア考-3-

日本の事情はわかりませんが、英語で書かれた学術論文の多くは、インターネットで公開されています。古いものも、PDFファイルで読むことができます。

ただし、これは大学などの研究機関に所属する研究者や学生にしかIDが発行されず、一般の人はアクセスすることができません。

大学教授や学生が、論文などを書く際には、これらのサイトから得られた知見を活用すれば良いので、あえて「オンライン百科事典」を利用したり、それに投稿したりする必要性は、あまりありません。

そもそもウィキペディアは、一般向けの百科事典という性質が強いので、そのことを理解した上で、それを、いかにうまく利用するかが重要だと思います。

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2005.12.25

イギリスのTVCM

日本にいた頃は、テレビで放映された映画を見るのはあまり好きではありませんでした。それは、CMが多くて、ストーリーがぶつぶつと切られてしまい集中して見ることができなかったからです。

イギリスの地上波テレビには、国営放送でCMの入らないBBCのほかに、民放が3局ありますが、映画を放送する際に入れるCMは、話の流れを切らないような配慮がされています。

たとえば、22日の深夜に、たまたま放送されていた『ニル・バイ・マウス』という映画で調べてみたら、放映開始から終了までに入ったCMは、わずか3回で計12分。映画の始まりから終了までの本編とCMの時間は、それぞれ本編20分(CMが4分)本編34分(CMが5分)本編39分(CMが3分)本編28分でした。

話のつながりやシーンの展開を考慮して、CMを入れるタイミングを決めているようで、ゴールデン・タイムでも、同様です。これが、法律で規制されているものなのか、それとも単なる慣習なのかはわかりませんが、シークエンスを無視してCMを入れるという無粋なことはしません。

商業放送というものは、もちろんコマーシャルが無ければ成り立たないのですが、だからと言って、日本のように15分に1回CMを入れて映画をぶつ切りにするのが良いことだとは思えません。コンテンツを大事にし、きちんと見てもらう努力を怠れば、ますます視聴者が離れてしまうだけだと思います。

ところで、『ニル・バイ・マウス』という映画は、『レオン』のキレた刑事役などで知られる俳優のゲーリー・オールドマンが、初めて監督した自伝的要素の強い映画です。ロンドンの南に住む飲んだくれの親父の妻に対する暴力や家庭崩壊を描いた、地味で重たい映画ですが、それでも、だんだんと引き込まれていくのは、演出の力でしょうか。

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2005.12.23

ロンドンのクリスマス

今年のイギリスのクリスマス休暇は4連休となります。24、25日に続いて、26、27日も休みになります。

クリスマス・イヴとクリスマスは、電車やバスなどの公共交通機関は運休、ほとんどの商店は休業となるので、うちでじっとしていないと遭難してしまいます。

ロンドンの街も、クリスマスの飾り付けが施されています。

もっとも有名なのは、トラファルガー広場のクリスマス・ツリー。毎年ノルウェーから贈られているもので、飾り付けもノルウェー式です。第二次大戦でイギリスが支援してくれたことに対するお礼なのだそうです。

[トラファルガー広場のツリー]左の列の一番上とその下の写真

http://allabout.co.jp/travel/travelengland/closeup/CU20051123B/?FM=traveltop

もう一つ、よく知られているのはリージェント・ストリートの飾り付けです。道路上のイルミネーションで今年はブルーの電飾がきれいです。

[リージェント・ストリートのイルミネーション]左の列の一番下から3枚

http://allabout.co.jp/travel/travelengland/closeup/CU20051123B/?FM=traveltop

本当は、ロンドン在住の方のブログから、写真を紹介しようと思ったのですが、自分の顔写真を出している方が多くて、ここで紹介するには、ちょっと差し支えがありそうなのでやめておきました。

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2005.12.21

ウィキペディア考-2-

iTmediaにウィキペディアに関して、新たな記事が掲載されました。

「Wikipedia、科学分野では正確」――Nature誌が調査
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0512/15/news070.html

科学専門誌ネイチャーが、各分野の専門家に、ウィキペディアとブリタニカ百科事典の評価を依頼し、回答を得られた42の項目について調べたところ、ウィキペディアは平均で4カ所の間違いがあり、一方、ブリタニカ百科事典では3カ所だったことがわかったそうです。つまり、ウィキペディアの信頼性は、ブリタニア百科事典と同レベルであることがわかりました。

この記事の元になったネイチャー誌の特集はウェブで公開されています。

Internet encyclopaedias go head to head
http://www.nature.com/nature/journal/v438/n7070/full/438900a.html

これによると、信頼性以外の点での意見として、特に「読みやすさ」という点について、ウィキペディアは「構成が貧弱で、混乱している」という指摘が多かったそうです。

また、下記のコラムの後半では、ある科学者が、"climate-change"に関連するトピックで、2人の懐疑派と2年間にわたり編集合戦をくりひろげたことが紹介されています。最後は、ウィキペディアの管理人の裁定により、懐疑派の2人が6カ月間編集禁止に。また、当の科学者も6月間1日に1項目しか編集できないという裁定がくだったそうです。

Challenges of being a Wikipedian
http://www.nature.com/nature/journal/v438/n7070/box/438900a_BX1.html

あと、学術的なレベルでは、出典や文責の曖昧な文章は引用できない、要するに「使えない」ので、そういう意味での限界はウィキペディアには、あると言えます。入門レベルで、何かを知りたい時には、とても便利なんですけどね・・・。

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2005.12.19

『マネーの虎』英国版

BBCテレビでは、『マネーの虎』のイギリス版を放映しています。『Dragon's Den』というタイトルで、文字通りの意味は「龍の巣」です。

http://www.bbc.co.uk/dragonsden/

番組のフォーマットは、『マネーの虎』とほぼ同じで、ドラゴンと呼ばれる5人の実業家たちが、一般の人が提案するビジネスプランを厳しく吟味し、成功する可能性があると判断したら、ポケットマネーで投資をする、というものです。

日本テレビで放映されていた『マネーの虎』のライセンスを、BBCが取得して制作しているもので、今年の1月に第1シリーズとして1時間枠で6回にわたり放映しました。この第1シリーズは、日本に逆輸入されて、現在、日本テレビのCSチャンネルで放映されているそうです。

この第1シリーズが、大きな話題になったことから、新たに第2シリーズの6回分が制作され、いま放映されています。20日の火曜日が、その最終回なのですが、今までにアイデアを採用された人たちのその後が、どうなったのか気になります。

[追記]21日に、第1シリーズに出場した起業家の卵たちの、その後が放映されました。

Where are they now?
http://www.bbc.co.uk/dragonsden/series_1_update_index.shtml

ドラゴン(審査員)から投資を受けられたプランでも、まだ立ち上げの段階で、成功したとは言えないようです。

面白かったのは、「Destination London」というゲームを開発した女性で、ドラゴンからは投資の資金が得られませんでしたが、自分でゲームを発売したところ、「ハムレーズ」という玩具店でベストセラーに。アメリカにも進出する計画をたてているそうです。

Destination London game - Rachel Lowe
http://www.bbc.co.uk/dragonsden/series_1_prog_4_update.shtml

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2005.12.17

2012年オリンピックの光と影

2012年のオリンピックは、ロンドンで開催されることが決まっています。その選手村は、ロンドンの東のストラトフォード(Stratford)という地区につくられます。

ロンドンの東のはずれ(East End)は、他の地域に比べて失業率が高く、また、犯罪の発生率も高いと言われています。

2003年に作られた『Bullet Boy』という映画は、このストラトフォードの近くのハックニーという地区が舞台となっています。

http://www.bulletboy.net/

少年院から出てきた、リッキーという18歳の黒人の不良少年が、心を入れ替えて、まじめな生活を送ろうとするものの、路上でのけんかに巻き込まれ、それがだんだんとエスカレートして・・・という救いのないストーリーです。

主人公を演じたのは、「So Solid Crew」というダンス・グループの「Asher D」こと、アシュレイ・ウォルタース(Ashley Walters)で、実生活でも刑務所に入ったことがあるそうです。つまり、役を演じているというよりも、素のままで映画に出ていると言えます。ただ残念なのは、この映画が、日本で公開される可能性は、あまり無いことです。

ロンドンの東に、オリンピックの選手村や、新しい施設を作ったりするのは、この地域の再開発という側面もあるわけです。

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2005.12.15

ロンドンのフリーペーパー

ロンドンには、『イヴニング・スタンダード』という夕刊紙がありますが、その無料配布版が、昨年12月に発行を開始して以来、一周年を迎えました。

ロンドンには、朝、地下鉄の駅などで配布される『メトロ』というフリーペーパーがあり、約50万部配布されています。『メトロ』の発行元は、アソシエーテッド・ニュースペーパー社ですが、ここは、『イヴニング・スタンダード』というロンドンだけの夕刊紙も発行しています。

しかし、この『イヴニング・スタンダード』は、ここ数年部数が落ち込んできていることから、広告収入の面でのテコ入れを図るために、昨年12月から、『スタンダード・ライト』という無料紙も配布するようになりました。

『イヴニング・スタンダード』は、一部40ペンス(80円)で、発行部数(2005年10月時点)は、約32万9000部。『スタンダード・ライト』の方は、約7万5000部配布されています。

以下は、14日付けの両紙の比較です。

『イヴニング・スタンダード』(有料版)

・総ページ数64ページ-すべて広告のページ4ページ

『スタンダード・ライト』(無料版)

・総ページ数44ページ-すべて広告のページ12ページ

両紙で同じ記事が掲載されていることが多く、政治や事件のニュース、芸能、スポーツなどの記事が、比較的平易な英語で、コンパクトに書かれています。当然のことながら、ロンドンの街ネタも多く載せられています。

また、有料版にあって、無料版に無い記事は、株価を含めたビジネス関連の記事、映画や芝居などのレビュー、レストランの紹介などです。こういったジャンルの記事は、有料でも読まれる記事、ということができそうです。

なぜなら、同紙のビジネス関連の記事は、株価に影響するようなスクープが載ることもあるため、金融街シティで働く人も注目しているからです。また、これから公開される映画や芝居のレビューや、試食をした上でのレストランの紹介などは、同紙に寄稿している専門の記者にしか書けない記事だからです。

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2005.12.13

続・グーグルワックの冒険

小説を書くという約束で、出版社からお金を前借りしていたゴーマン氏だが、「グーグルワックでヒットしたサイト管理者10人に続けて会う」という旅をするために、このお金をすべて使い果たしてしまった。しかも、小説は、まったく書けていない・・・。

ゴーマン氏が、芝居の中で告白したところによると、この借金を返すために、『グーグルワック・アドベンチャー』という芝居が作られたという。最初は、オーストラリアで上演され、その売上は、そのまま出版社への借金の返済にあてられた。

ところが、予想外に芝居がヒットしたことから、借金はあっという間に完済。イギリスやアメリカでも上演されたほか、同じ出版社から、芝居を小説仕立てにした書籍の出版も依頼された。それは、英語版だけではなく、ドイツ語やオランダ語、さらには日本語にも翻訳される・・・。

この『グーグルワック・アドベンチャー』という芝居が、多くの人に受けた理由は、「何かをしようとしてバソコンに向かったものの、気がついたら、まったく関係の無いことに夢中になっていた。それも、本来やるべきことは、そっちのけで・・・」という、誰もが身につまされることがテーマになっているから・・・なんでしょうね。

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2005.12.11

グーグルワックの冒険

グーグルワック(Googlewhack)という遊びを、ご存じですか? グーグルで、2つの単語を検索して、1つしかヒットしない組み合わせを探すというゲームです。

London_002


 これは、2002年にアメリカ人のガリー・ストック(Gary Stock)氏によって始められた遊びです。発見した2つの単語の組み合わせは、グーグルワック・ドットコム(http://www.googlewhack.com/)に登録できます。

そして、このグーグルワックを題材にした一人芝居『グーグルワック・アドベンチャー』(Googlewhack Adventure)をヒットさせたのが、イギリス人のコメディアン、デーブ・ゴーマン氏です。

ゴーマン氏は、1990年に、スタンダップ・コメディアンとしてデビューしました。2002年、31歳になったゴーマン氏は、ある日突然「小説を書こう」と思い立ちます。そして、パソコンに向かいますが、いっこうに筆が進みません。そうこうするうち、ある人からグーグルワックという遊びがあることを知らされ、それに夢中になります。

そして、グーグルワックでヒットしたサイトの管理人に会い、その人から、さらにグーグルワックに該当するサイトをみつけてもらい、という形で10人のサイト管理者にあう、という旅に出ます。はたしてゴーマン氏は、10人目の管理者にまで、たどりつくことができるのか・・・? 

この顛末を描いたのが、『グーグルワック・アドベンチャー』という一人芝居です。

『グーグルワック・アドベンチャー』は、イギリスだけでなく、オーストラリアやアメリカでも好評を博したことから、小説仕立てにした書籍と、芝居を収録したDVDが発売されています。また、ゴーマン氏のサイトによると、書籍の日本語版を出版する予定もあるそうです。


http://www.davegorman.com/shop.htm

これは、とても面白いコメディですので、お薦めします。日本語版が出たら、是非、読んでみてください。

[参考]『ASAHIパソコン』 2005年10月15日号

グーグルワック・アドベンチャー 日本にも上陸間近!?

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2005.12.09

ロンドン名物の2階建てバスが引退

ロンドン名物といえば、2階建てバス。『ルートマスター』と呼ばれる旧型の2階建てバスが、金曜日正午過ぎに、最後の運行につく・・・。

London_001

といっても、今回引退するのは、2階建てバスのうち『ルートマスター』と呼ばれる、バス後部から乗るタイプの旧型の車種だけで、自動ドアのついた新型の2階建てバスは、今までどおり運行しています。

また、観光客向けに、トラファルガー付近を通過する9番と15番の路線でも、『ルートマスター』を走らせていますので、一度は見ておきたいという方は、ご安心を。

金曜日の最後の運行は、こちらの時間の正午過ぎから、日本時間では、午後9時過ぎから、となりますので、金曜日の夜か、土曜日の朝には、日本のニュースでも取り上げられるでしょう。

この『ルートマスター』という車種は、1956年に運行を開始。1968年までに2876台が製造されました。当初は、17年の寿命を想定していたのですが、予想以上に頑丈にできていたために、結局、50年近く走り続けることになりました。

車体自体は、まだ数年は持ちそうなのですが、EUの環境基準にあわないことや車椅子の方を乗せるための設備が無いことから、新しい車種に切り替えられてきました。

でまぁ、木曜日に、『ルートマスター』の写真を撮りに出かけたのですが、道路脇でカメラを構えているオヂさんたちが、いるわいるわ・・・。

イギリスにおけるオタク趣味の世界は、日本のそれに勝るとも劣らない、深さと広がりがあります。

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2005.12.07

ウィキペディア考

iTmediaにウィキペディアに関して次のような記事が掲載されました。

Wikipediaが登録制に――虚偽投稿対策で
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0512/06/news027.html

アメリカのジャーナリストがウィキペディアに、「『ケネディ暗殺に関与した』と虚偽の経歴を書かれた」と苦情を訴えたことから、新たな項目を登録する際には、ユーザー登録を義務づけるようにするそうです。

ウィキペディアは、ユーザーの善意が前提となっているシステムですが、こうした特定の意図のある書き込みを、すべてチェックするには、規模が大きくなりすぎているのかも知れません。

今回のケースは、やや政治的な側面を帯びていますが、それではウィキペディアを純粋に学術的な視点から見た場合には、どういう評価がくだされるのでしょうか?

少し前ですが、10月24日付のイギリスの高級紙ガーディアンに、"Can you trust Wikipedia? "(ウィキペディアを信用できますか?)という記事が掲載されました。「創設者でさえビックリしたことがあると認めた」ウィキペディアのいくつかのエントリーを専門家の目でチェックするという企画です。

たとえば、"Haute couture"というファッション用語については、「間違いが多い」と指摘されています。また、"Steve Reich"というアメリカ人作曲家については、特定の作品にだけ詳しくバランスを欠いていると指摘されています。

このほか、"Basque people"、"T. S. Eliot"、"Samuel Pepys"、"Bob Dylan"、"Encyclopedia"などのエントリーについても、専門家による点検がなされています。全体としては、事実関係には誤りは少ないものの、分析的な視点に欠けるという指摘が多いようです。

まぁ、そういうもんだと思って使っていくしかないのでしょうね。

[参考]Can you trust Wikipedia?
http://www.guardian.co.uk/g2/story/0,,1599116,00.html

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2005.12.05

インスパイア

5日にイギリスでモダン・アートの「ターナー賞」が発表されますが、2000年には、候補作の1つが盗作ではないかと大きな騒ぎになりました。

このターナー賞(Turner Prize)は、毎年4人の若手モダン・アーティストを候補者としてピックアップし、ロンドンにあるテート・モダンという現代美術館で展示を行い、11月下旬から12月上旬にかけて、優れた作品のクリエイターを表彰するという毎年恒例のイベントです。

2000年に盗作ではないかと大きな騒ぎになった作品は、グレン・ブラウンというイギリス人アーティストの「The Loves of Shepherds 2000」という作品です。

この年は、日本人の女性も候補者の一人に含まれていたことから、私もテート・モダンに見に行きました。問題の作品は、大きな惑星を背景に宇宙船が飛んでいる、というSFチックな大胆な作品で、下馬評では、グレン・ブラウン氏が、この年の最優秀賞の筆頭にあげられていました。

しかし、ターナー賞が発表される直前に、この作品は、1974年に発売されたSF作品の表紙の盗作ではないかとの指摘がなされました。上が問題の絵で、下が本の表紙です。

[問題の絵]

http://news.bbc.co.uk/olmedia/1040000/images/_1044375_glenn300.jpg

[本の表紙]

http://news.bbc.co.uk/olmedia/1045000/images/_1045089_heinleinnew300.jpg

盗作の元になった本は、ハインラインの『Double Star』という有名なSF作品で、表紙を書いたのは、アンソニー・ロバーツというイラストレイターでした。 盗作ではないかとの指摘に対して、グレン・ブラウン氏は、「絵のスケールと色を大きく変えた」と反論しました。また、ターナー賞の審査員も、「盗作にはあたらない」と擁護しました。このため、グレン・ブラウン氏は、失格とはなりませんでした。

では、下馬評通りに、グレン・ブラウン氏が受賞したかと言うと、そういう訳でもなく、2000年のターナー賞は、ドイツ人カメラマンが受賞しました。

結局のところ、先行する作品にインスパイアされた作品自体を否定することはできないものの、元の作品にあまりにも似すぎている、つまり、オリジナリティの乏しい作品に対しては、賞を与えることはできない、という、しごくもっともな結論に落ち着いたわけです。

[参考]Copycat row hits Turner Prize

http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/1044375.stm

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2005.12.03

移民について-イギリス篇4-

私はロンドンの西の方に住んでいるのですが、さらに西へ行くとサウスホール(Southhall)という地区があり、ここはインド人街として知られています。

インドの街が、丸ごと移ってきたようなところで、住人は、コテコテのインド人ばかり。インド映画専門の映画館や本場のインドカレーを味わえるレストランなどもあります。

サッカーが大好きなインド系イギリス人の女の子が主人公の映画『ベッカムに恋して』(原題「Bend It Like Beckham」)は、このサウスホールの近くが舞台です。主人公のジェスが、保守的な両親の目を盗んで、女子サッカーチームに参加する・・・というストーリーです。

インド人家庭の持つ伝統と現代のイギリスの価値観との衝突、とか、イギリス社会における差別の問題などが含まれていて、見る人によっては、重たい映画に感じられてしまうかもしれません。でも、面白い映画です。インド人の話す英語が、どんなものであるかも、よくわかります。

ジェスのチームメイトのジュールズ役として、キーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)も出演しています。ロンドンに住んでいる女の子が話す英語というのは、こんな感じというのもわかります。

この映画はイギリスだけでなくアメリカでもヒットしたことから、ジェス役のパーミンダ・ナーグラ(Parminder Nagra)は、アメリカのテレビドラマ『ER』の医学生役として活躍しています。一方、キーラ・ナイトレイは、映画『プライドと偏見』(原題『Pride and Prejudice』)に主演し、今やイギリスの国民的女優になった感があります。

ちなみに、『プライドと偏見』は、イギリス版とアメリカ版では、ラストシーンが異なるそうです。どちらもハッピーエンドなのですが、アメリカ版のラストシーンの方が、イギリス版よりも、よりハッピーなのだそうです・・・。

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2005.12.01

セルフ・トラックバック

ブログの使い方としては、少し邪道かなぁ、と思いつつも、これはこれで、「あり」なのではないか、というのを試して見ることにしました。

それは、「セルフ・トラックバック」。つまり、自分のブログのエントリーに、トラックバックをつけることです。

私は、これまでに、イギリスの映画をいくつか紹介してきましたが、それぞれ、

『The Full Monty』:イギリスの英語-2-

『Billy Elliot』:イギリスの英語-3-

『East Is East』:移民について-イギリス篇2-

『BEST』:5人目のビートルズ

というように違うタイトルの中に含まれています。読者の中には、映画の紹介だけを続けて読みたい方もいるでしょうから、『The Full Monty』の紹介を読んだ後、そのトラックバックをたどると、映画を紹介しているエントリーだけを続けて読めるようにしたわけです。

いずれは、私のブログのエントリーを、相互にトラックバックをつけることで有機的に結びつけていくことも考えています。

ブログは、ウェブ日記の延長のように発達してきたという部分があるのですが、最近になって私のブログに出くわした方に、あえて日付順に読むことを強制する必要もないと思うわけです。 日付やカテゴリーやタイトルにとらわれずに、ふらふらとさまようような感じの読み方ができるようなブログにしたいなぁと、思うわけです。

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