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2010年5月

2010.05.25

イギリスも事業仕分け――政府広報予算もカット

対GDP比11.5%にのぼる財政赤字に苦しむイギリス政府は、事業仕分けによって62億5000万ポンド(8000億円)の歳出削減を行うと発表しましたが、その中には、政府広報予算も含まれていることが明らかになりました。

Coalition government freezes advertising budget
http://www.guardian.co.uk/media/2010/may/24/coalition-freezes-advertising-budget
The coalition government is to freeze its £540m-a-year advertising budget, except on what are deemed to be "essential" campaigns, ahead of implementing plans to axe marketing and advertising spend by up to 50%.

先頃発足したイギリスの連立政権は、2009年度に5億4000万ポンド(799億円)も使われていた政府広報予算を、必要不可欠なものをのぞいて、2010年度は凍結すると発表しました。2011年度予算では、最大で50%までカットすることが予告されています。

英ガーディアン紙の記事によると、この必要不可欠なものに含まれるものには、「軍隊への勧誘」が上げられているそうですが、それ以外の項目については何の情報も得られていない、とのこと。

また、5億4000万ポンド(799億円)の予算のうち、2億1100万ポンドはテレビ、ラジオ、新聞などで使われているとのことで、イギリスの場合は、事業仕分けが、ただでさえ苦境にあるマスコミの広告収入を直撃することになりそうです。

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2010.05.17

英インディペンデント紙がロンドンで無料紙化を検討

イギリスの左派系高級紙インディペンデント紙は、先頃、ロシア人富豪のアレクサンドル・レベデフ氏に買収されましたが、同紙は、ロンドンに限り無料紙として配布する計画を検討しているようです。

The Independent may go free in London as new owners seek profitable business model
http://www.guardian.co.uk/media/greenslade/2010/may/17/theindependent-independent-on-sunday
The new owners of The Independent may turn the title into a free in certain regions, according to Evgeny Lebedev, chairman of the paper's new board.

インディペンデント紙の会長で、アレクサンドル・レベデフ氏の息子であるエフゲニー・レベデフ氏は、英FT紙のインタビューで、ロンドンのM25という環状道路の内部だけ限定で無料紙として配布することを検討している、と語っています。

無料紙として配布することにより、発行部数は増加するため、より単価の高い広告がとれるのではないか、と見ているようです。同氏は、「我々は、何か新しいことに取り組まなければならない。現在のインディペンド紙は、損失を垂れ流し続けているので、現状のままではいられない」と語っています。

[参考]
Looking for more than just paper profits
http://www.ft.com/cms/s/0/f3ab16c8-5fb9-11df-a670-00144feab49a.html

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2010.05.14

英タイムズ紙もリストラなう

英タイムズ紙が、5月27日を締切とする希望退職を開始すると発表しました。興味深いのは、同紙の編集長であるジェームズ・ハーディング氏がスタッフに送ったメールが公開されている点です。

James Harding: Times losses 'unsustainable'
http://www.guardian.co.uk/media/2010/may/13/james-harding-times-losses-unsustainable
Harding's remarks, made in an email to staff, follow announcements to staff that the Times and Sunday Times, which make daily losses in the region of £240,000, are looking to cut up to 80 staff between them and each reduce their editorial budgets by 10%.

[参考]ジェームズ・ハーディング氏のメール全文
Read James Harding's email explaining planned cuts to Times staff
http://www.guardian.co.uk/media/2010/may/13/james-harding-cuts-email-times

ハーディング氏のメールでは、英タイムズ紙と、その日曜版である英サンデー・タイムズ紙は、1日に24万ポンド(3254万円)の損失を計上しており、5月27日を締切として、80人の希望退職を募っています。また、編集部門は全体で10%の経費削減を行う、としています。

また、希望退職については、「どれくらいの応募があるかわからないので、締切の延長、定員に満たなかった場合は、強制的な解雇もありうる」とのこと。イギリスでは、日本に比べると、社員の解雇は容易であり、むしろ希望退職を募る方が珍しいとも言えます。

現在の英タイムズ紙、英サンデー・タイムズ紙は、「持続不可能な規模の赤字を垂れ流している」状態です。両紙は、6月よりオンライン版への課金を開始すると発表されていて、何か明るい未来が待ち受けているかのようにとらえられていました。

しかし、実際には、オンライン時代に向けて組織やコスト構造の改善を相当ドラスティックに行わないと、「オンライン・ジャーナリズム」という次のステップへは進めない状態であることがわかりますね。

[参考]英タイムズ紙、6月よりウェブ課金へ
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/blog/2010/03/6-705b.html

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首相官邸のホームページも政権交代……イギリス

5月11日に、イギリスのゴードン・ブラウン前首相が退任スピーチを行った数分後には、首相官邸のホームページ( http://www.number10.gov.uk/ )のコンテンツはアーカイブに入れられました。そして、キャメロン新首相が誕生すると、早速、新しいコンテンツが次々とアップされています。

20100512downing

Number 10: Out with Gordon Brown, in with Webcameron
http://www.guardian.co.uk/media/pda/2010/may/12/number10-david-cameron-twitter
As a new team swept into Number 10, so did a new digital era. Within minutes of Gordon Brown's speech outside Number 10, all content on number10.gov.uk had been wiped and sent to the official government web archive.

似たようなケースは、2007年にトニー・ブレア元首相から、ブラウン前首相へと政権の委譲が行われた時にありました。しかし、保守党から労働党へと政権交代が行われた1997年当時は、ようやくインターネットが普及し始めた頃で、そもそも首相官邸のホームページがありませんでした。というわけで、首相官邸ホームページは、初めての「政権交代」と相成りました。

また新しく首相になったキャメロン首相は、野党時代から有権者に直接語りかけるためのYoutubeチャンネル「ウェブキャメロン」( http://www.youtube.com/user/webcameronuk )を開設しており、こちらの方は、今後も継続すると発表し、一部のファンを喜ばせているようです。

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2010.05.12

保守党と自由民主党の連立が成立

かつて日本にも同じような連立政権があったような気がしますが……(笑)。

Embracing change: Cameron forges historic coalition
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/may/11/david-cameron-uk-prime-minister
Cameron accepted the Queen's invitation to form a new government shortly before 8.30pm and minutes later spoke to the country outside Downing Street alongside his wife, Samantha, and announced he will establish a "proper and full" coalition with the Liberal Democrats - the first in British politics since 1945.

5月6日の総選挙で、第一党となった保守党のキャメロン党首は、第三党の自由民主党のクレッグ党首と、連立政権を発足させることで合意しました。11日の夜に、エリサベス女王にバッキンガム宮殿に招かれて、そこで首相に任命されました。

イギリスで、連立政権が発足するのはチャーチル率いる大連立政権以来70年ぶりのことで、戦後では初となります。キャメロン党首は現在43歳7カ月で、43歳12ヶ月で首相となったブレア元首相を抜いて、1812年以来で最も若い首相となるそうです。 自由民主党は3つの閣僚ポストを獲得する予定で、クレッグ党首は副総理に内定しているとのこと。

ところで私は3月下旬の時点で次のように予測していました。

日立の鉄道事業はイギリス総選挙の結果次第?
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/blog/2010/03/post-86e7.html

《3つのパターンうちでもっとも可能性が高いのは、<3>の保守党と自由民主党の組み合わせではないかと思います。》

なぜ、このような予想をしたかというと、政策的には、中道左派の労働党と、左派の自由民主党は近いのですが、自由民主党はそもそも労働党の左派が、旧・自由党と合流して誕生した政党のために、近親憎悪的な感覚があるので、労働党-自由民主党の連立政権は難しいのではないかと思ったからです。

これは日本で言えば、旧・社会党と旧・民主社会党(民社党)のような関係で、1994年に民社党を含めた新進党を作った時に、下に置かれた社会党がへそを曲げて、非自民党連立政権の崩壊を招いたような感覚と同じと言えばわかりやすい……かえってわかりにくいですか?(笑)。

もともと自由民主党は、労働党への批判票を集めて成長してきた政党ですから、労働党-自由民主党の連立が成立すれば、自由民主党の役割は終わってしまうことになります。また、保守党としても、なんとしても十三年ぶりに政権を奪還したいという意欲はあるわけですから、ハング・パーラメントになった場合は、保守党と自由民主党の連立がもっとも蓋然性が高いのではないかと思っていました。まあ、結果が出てからでは、何とでも言えるんですけどね……(笑)。

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口蹄疫により600万頭の家畜を殺処分――2001年のイギリスのケース

現在、日本では、家畜の疫病である口蹄疫( foot and mouse disease ) の被害拡大が懸念されていますが、畜産の母国であるイギリスでも、過去に何度か被害に遭っています。中でも、史上最悪のケースと言われた2001年の口蹄疫の被害がどのようなものかを見ていきたいと思います。

Foot and mouth epidemic officially over
http://www.guardian.co.uk/uk/2001/dec/29/footandmouth.Whitehall
With the milestone of three months since the last foot and mouth outbreak being reached tomorrow, the world's worst epidemic of the disease is about to be declared officially over.

この記事は、最後に口蹄疫にかかった家畜が発見されてから、三ヶ月を経て、ようやく終了宣言が出されることになった12月29日の前日に、英ガーディアン紙に掲載されたものです。

最初に口蹄疫にかかった豚がエセックス州で発見されたのが、2001年2月20日のこと。しかしすでにこの時点で、イギリスの他の地域やフランス、オランダで、羊などが口蹄疫にかかっており、感染爆発のような状態に陥っていた。

9677の農場で感染が確認され、400万頭の家畜が感染していたために殺処分された。うち8割が羊で、牛、豚、山羊も含まれていた。さらに200万頭は、口蹄疫を拡大させるおそれがあると言う理由で殺処分された。イギリスの家畜の8頭に1頭が殺処分された計算になる。最後に感染が確認されたのが9月30日であり、90日間の観察期間を経て、終了宣言が出された。

以上が、記事の内容です。ところで、殺処分された家畜の死体の処理はどうしたかというと、英国陸軍の部隊がかり出されて、すべて焼却されました。軍隊が出動したのは、「死体の処理に慣れているから」という理由でしたが、さすがに来る日も来る日も家畜の死体をかついで火の中に放り込む作業を繰り返したことから、軍人の中にも体調を崩す者が続出した、という話を聞いたことがあります。

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2010.05.08

保守党が自由民主党との連立を模索

イギリス総選挙の結果が出ました。649議席(650議席中、一議席は候補者が急逝したため選挙延期)のうち、保守党が306議席と第一党になりましたが、過半数に20届かないため、自由民主党との連立を模索することになります。

Tories meet Lib Dems over deal for power
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/election_2010/8669409.stm
Talks between senior Conservatives and Liberal Democrats continued late into Friday as the parties tried to broker a deal to form the next government.

最終的な選挙結果は、出口調査の予測よりも、自由民主党には厳しいものとなりました。自由民主党は5議席減の57議席となり、選挙前の躍進への期待と比べると大きく後退しました。

イギリス政治では、ハング・パーラメント(Hung Perliament=宙吊り状態の議会)の場合は、まず、これまでの与党の労働党が政権の維持を模索することになりますが、これを阻止すべく保守党のキャメロン党首は、早速、自由民主党との連立を模索しています。

自由民主党がキャスティング・ボードを握ることになり、クレッグ党首の判断に注目が集まっています。

ちなみに1974年2月の選挙で同じような立場に立たされた労働党は、当時の自由党と少数の連立与党を組みましたが、政権が安定せず、同じ年の10月に、ふたび解 散総選挙を行うことになりました。

20100507election002

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2010.05.07

英保守党が第一党だが過半数に届かず――出口調査

5月6日に実施されたイギリスの総選挙ですが、テレビ局の行った出口調査によりますと、保守党が第一党となるも、過半数に21議席届かないハング・パーラメント(Hung Perliament=宙吊り状態の議会)となる公算が高いとのこと。

Tories to be 21 short of majority
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/election_2010/8666128.stm
David Cameron will fall 21 seats short of a Commons majority, according to a joint BBC/Sky/ITV exit poll.

BBC、Sky、ITVのテレビ局三局が合同で行った出口調査によりますと、野党の保守党が305議席で、前回2005年選挙から95議席伸ばす一方で、労働党は255議席と前回から94議席減らしました。また、野党第二党の自由民主党は1議席減らして61議席となりました。

投票前の党首討論では、圧倒的な人気を博していた自由民主党がふるわず、労働党と保守党の間で、ほぼ同数の議席が増減しただけの結果となりました。選挙前には、「二大政党制の終わりか?」とささやかれていましたが、まだまだ二大政党優位の状況はかわらないようです。

※これは、あくまでも出口調査の結果であって、最終結果ではありません。念のため。

BBCのサイトでは、現在リアル・タイムで開票速報を行っています。
http://news.bbc.co.uk/

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