2010.12.09

終身雇用の終わり――日本のポストモダン Scene3

会社更生法を申請し、更生計画を認可されたJALが、12月31日付けで整理解雇を行う方針であることを明らかにしました。

「みんな私らが悪いんであって、社員は悪くありませんから!」――。

この有名なフレーズとともに、山一証券が自主廃業を発表したは1997年11月24日のこと。同じ月には、三洋証券と北海道拓殖銀行が経営破綻。1998年には長銀と日債銀が経営に行き詰まり、一時国有化された。一昔前は、大手金融機関に就職するということは、給料の高い公務員になるのと同義だったが、その幻想は、はかなくも打ち砕かれた。

また、カルロス=ゴーンが日産自動車の社長として、社員のリストラや系列会社の切り離しを行ったのが1999年のこと。こうした事実から、日本人の多くは、薄々、「日本経済の繁栄を支えてきた終身雇用は終わったのではないか?」と感じはじめたのではないだろうか?

しかし、日本において労働市場の発達は未成熟で、終身雇用にかわる労働慣行が生まれてきているとは言い難い。

社会心理学者の山岸俊男とハーバード大学社会部長のメアリー・C・ブリントンによる対談本『リスクに背を向ける日本人』(講談社新書)において、次のようにように語っている。

《メアリー つまり、再雇用のための労働市場や訓練のための支援が十分に整備される前に、終身雇用の終焉や非正規雇用の本格化が始まってしまったということですね。クビを切るなというかたちでの雇用の安定が維持できなくなったのに、再雇用の促進というかたちでの雇用の安定が整備されていない、と。
山岸 だから、今の職場にしがみつくこともできないし、新しい職を見つけることも難しそうだという、二重の意味での雇用の不安に今の日本人は直面しているんだよ。》(pp.34-35)

そして、今日(12月9日)に次のようなニュースが流れた。

▼日航、200人整理解雇
http://www.asahi.com/business/update/1209/TKY201012090355.html
《会社更生手続き中の日本航空は9日、パイロットと客室乗務員ら約200人を12月31日付で解雇する手続きに入ったと発表した。再延長していた希望退職の募集を9日に締め切ったが、目標の200人に対して応募が40人にとどまったため。》

JALの経営に対する懸念は十年以上前からささやかれてきた。

▽堕ちた翼の真実
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/05/post-936b.html
▽『腐った翼』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/07/post-c2e7.html

この間、JALと競合するANAは、経営体質を強化するため、給与水準を下げ、退職者の年金も減額している。また、新興エアラインのスカイマークは、ほとんどゼロから出発して、いまの地位を築いている。

一方のJALは、経営危機がささやかれながらも、十年以上の長きにわたり、ANAやスカイマークがしてきたような企業努力を怠ってきたのではないか。

今回、JALが解雇整理に踏み切ったのは、駄目なもんは駄目、組合がいくらゴネても駄目、ということがようやく明らかにされたのではないか、と思う。

◆日本のポストモダン #3
終身雇用の終わり
移行期間:1997年11月-2010年12月


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