2011.01.15

英語力強化法Vol.17 「非ネイティブの英語」をあまりお薦めしない理由

最近、「世界的に見れば英語話者の数は、ネイティブよりも非ネイティブの方が多いんだから、無理してネイティブの英語をめざす必要は無い」という「非ネイティブの英語のススメ」が流行っているようですね。うん。言いたいことはわかるんだけどね。それでもやはり、あまり、お薦めしないので、うん、その理由を書いてみようか。

先日、二本の映画を見ました。脈絡無く選んだ二つの映画なんですが、実は、ある点で共通項があったのです。

まず、『インビクタス / 負けざる者たち』。

これは、アパルトヘイト後の南アフリカにおいて、ネルソン・マンデラが、初の黒人大統領となった時の実話に基づいた映画です。南アフリカでは、1995年にラグビーW杯の開催が予定されていましたが、当時の南アフリカ代表チーム「スプリングボクス」は低迷期にありました。また、ラグビーはアパルトヘイト時代の支配層のスポーツだったこともあり、黒人の間では不人気でした。そして、過去の負の遺産を象徴する「スプリングボクス」のユニフォームやエンブレムを、新しいものに変えようとする意見が黒人から出されましたが、白人との宥和政策をとるマンデラはこれを拒否して、「スプリングボクス」を応援しました。こうしたマンデラの熱意もあり、「スプリングボクス」は、じょじょに黒人の支持を集めるとともに、チームを建て直し、W杯では強豪ニュージーランドのオールブラックスと決勝戦を戦うまでになります。ラクビーのルールを知らなくても楽しめる感動物語です。

もう一つは、『第9地区』。

南アフリカのヨハネスブルグ上空に現れた巨大宇宙船の中には、エビに似た宇宙人がたくさんいました。宇宙船直下には、「第9地区」と呼ばれる宇宙人のための難民キャンプが設営されましたが、これがスラム化したことから、宇宙人達を、ヨハネスブルグ郊外に新たに創った別のキャンプに移送することになりました。主人公であるヴィカス・ファン・デ・メルヴェは、移送を委託されたMNUという企業の中間管理職で、「エビ」たちを強制退去される仕事をまかされるが……。

もちろん宇宙人を退去させる、というのは、かつての南アフリカのアパルトヘイトを彷彿とさせるものであることは言うまでもありません。シリアスなドキュメンタリー・タッチながらも、ユーモアもペーソスもある、良質のSFエンターテイメントに仕上がっています。

さて、私が気になった、この二つの映画の共通点とは……、どちらも舞台が南アフリカ……、ではなくて、どちらも主人公たちが非ネイティブの英語を話していること。そして、どちらも聞き取りにくいという点です。

『インビクタス』では、モーガン・フリーマンがネルソン・マンデラを、スプリングボウズのキャプテンをマット・デイモンが演じているのですが、二人とも、南アフリカ風の訛りのある英語を話しています。俳優は二人とも、アメリカ人なので、南ア訛りを練習した上で話しているのですが、やはり、聞き取りにくいんですね。

もう一本の『第9地区』も主人公のヴィカス・ファン・デ・メルヴェ ( Wikus van de Merwe ) を演じたシャールト・コプリーは、イギリス系南アフリカ人の英語ネイティブなのですが、役名の姓のファン・デ・メルヴェ ( van de Merwe ) からわかるように、オランダ系の訛りの入った英語を話しています。やや、たどたどしい感じのする英語が、たくまざるユーモアを生み出しているのですが、やはり聞き取りにくい点があるのは否めません。

正直に言えば、そして、あえて自分のことを棚にあげて言えば、非ネイティブの英語は聞き取りにくいし、長時間聞いていると苦痛です。

もちろん、「非ネイティブの英語のススメ」のメッセージである
・発音や文法なんか気にしないでガンガン話しちゃおう
という意見には同意します。というか、話す時に、発音や文法を気にしてる余裕なんかありませんから!

だからといって、変な癖のある英語に慣れていても、英語が上達するとは思えません。やはり、常に、正しい英語に接するように心がけていないと、上達するものもしなくなってしまうおそれがあると思うのです。


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