2011.04.20

〈システム〉の崩壊――日本のポストモダン Scene6

3月11日からずっと続いている福島原発の危険な状態を見るにつけ、日本の統治機構そのものに重大な欠陥があると感じている日本人は多いと思う。

オランダ人の日本研究家、カレル・ヴァン ウォルフレンは、1989年に発表した『日本/権力構造の謎』において、日本の統治機構を、官僚、自民党、産業界の三つが牽制しあう「先端のないピラミッド」のようなものであり、それを他の国に存在するどの統治機構とも異なる日本独自の〈システム〉と呼んだ。

カレル・ヴァン ウォルフレン『日本/権力構造の謎〈上〉』(篠原勝訳、ハヤカワ文庫NF)

カレル・ヴァン ウォルフレン『日本/権力構造の謎〈下〉』(篠原勝訳、ハヤカワ文庫NF)

この政官業のトライアングルを補助的に支えているのが、学会であり、マスコミであった。

福島の原発事故でも、津波に対する対策や、原子炉停止後の予備電源について、もう少し厳しい監督体制がしかれていれば防げたのではないか、と感じている人も多いと思う。その意味において、福島原発の現在の状態は、〈システム〉のもたらした人災ということができるだろう。

1994年の「日本語文庫新版への結び」においてウォルフレンは、1993年8月に細川・非自民政権成立の立役者となった小沢一郎に多大なる期待を寄せていた。

しかし、その後十数年にわたり、小沢一郎は、官僚とマスコミのタッグによる執拗な「人格破壊」を受け続けてきたと、最新著『誰が小沢一郎を殺すのか?』で指摘している。

▽『誰が小沢一郎を殺すのか?』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/04/post-cff7.html
《「人格破壊」という政治的な暗殺は、世界各国で見られることだが、小沢一郎に対しては世界に例をみないほどの執拗なものだという。小沢一郎に対するそれは、1993年に自民党を割って、非自民連立政権を創って以来、マスコミと、その背後にいる検察や官僚によって続けられている。》

『日本/権力構造の謎』の発表以降、阪神大震災や大手金融機関の破綻、中国の台頭、リーマン・ショックなど、さまざまな危機を乗り越えてきた〈システム〉だが、風評被害や将来の健康に対する懸念までを含めれば、莫大な損害を日本にもたらした福島原発事故によって、とどめをさされることになるのではないか。

◆日本のポストモダン #6
〈システム〉の崩壊
移行期間:1993年8月-2011年3月


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