2011.05.09

二つの土下座の意味することとは?――日本のポストモダン Scene7

最近の日本を象徴することは、テレビで繰り返し繰り返し流される二つの土下座です。一つは、電力会社社長の土下座、もう一つは焼き肉屋の社長の土下座です。

電力会社の社長の土下座は、福島の原発事故による避難者への謝罪です。福島原発の原子炉自体は、地震の振動に堪えたものの、予想を超える津波によって予備の電源が失われ、炉心の一部溶融や、使用済み燃料プールから発生する水素による爆発を引き起こしてしまいました。

自然とは、人智を超える事態を引き起こすものである、ということを忘れていたとしかいいようがありません。

私は、1995年1月に起きた阪神大震災のことを思い出します。1993年に北海道の奥尻島で地震が発生し、1994年にも北海道や三陸で地震が相次ぎ、次は、関東か東海かと思っていた人も多かったと思います。それが、大方の意表をついて、関西で地震が発生しました。もともと、関西では地震が少なかったこともあり、あれほどの大地震が起きるとは、誰も予想もしていなかったと思います。

しかし、それが起きてしまいました。

そして、その翌年の1996年には、日本中で腸管出血性大腸菌O-157を原因菌とする集団食中毒が発生して、9000人以上の有症者と12人の死者を出しました。

そもそも大腸菌は、不潔な環境で増殖するため、食品から検出されてはいけない細菌でしたが、大腸菌自体は有毒なものではありませんでした、それが、どういうわけか、赤痢菌の発する毒素であった、腸管からの出血を引き起こすベロ毒素を発する突然変異体の大腸菌O-157が発生してしまったのです。O-111も、従来の大腸菌からは逸脱した変異体といえます。

焼き肉屋の社長が土下座をしているのは、もちろんユッケを食べて食中毒を起こした患者や亡くなられた方に対してです。ユッケの加工処理に関して甘さがあったと指摘されているのですが、そもそも、病原性大腸菌という存在を甘く見ていたのではないかと思います。

電力会社の社長の土下座と焼き肉屋の社長の土下座。この二つの土下座は、もちろん被害者に向けられたものですが、人智を超えた自然の猛威に対して、頭を下げているように私には思えてなりません。

◆日本のポストモダン #7
自然の猛威を再認識する
移行期間:1995年1月-2011年4月


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