1994.06.10

▽『出社拒否』――迷う三〇歳、悩む四〇歳 職場は今楽しいですか?

石郷岡泰『出社拒否』(講談社ブルーバックス)



 企業社会で忙しい日々を送るサラリーマンが、突然出社できなくなる例が増えている。彼、彼女が会社にこなくなった理由はなにか、豊富な事例をもとに説き明かしていく。

 産業カウンセラー(会社員の悩みに応えるカウンセラー)でもある筆者は、出社拒否になる人が抱く不安は、中学生・高校生の心の内に潜む不安と変わりがない、と指摘する。健康な人には理解しにくい、こうした心理に陥ってしまうのは、地位や立場と、はたすべき役割の兼ね合いを見誤ってしまうことに原因がある、という。

 筆者は、周囲に対する態度や考え方の対応の変更を迫られる、三〇歳前後、そして四〇代前半を、危機の年代と指摘する。

 三〇歳前後というのは、家庭や職場、あるいは仕事に対する自分の対応を見なおす時期にあたり、現実を吟味しながら、一方で自分の「夢」や「野心」を再形成することを迫られる。

 これに対し、四〇歳前半ともなると、職場では中堅となり待ったなしの能力が要求される。家庭では子供が思春期に入るといったこともあり、今まで以上に位置や役割が固定化され、夢や野心を抱くよりも現実での成果の積み重ねが求められる。

 いずれも、立場の移行期にあたり、仕事で成果をあげること以外の役割が期待される。まずは、職場を楽しくする努力と、仕事を忘れリラックスする努力の両立を。


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