1994.11.10

▽ナンシー関の見方――『鳩よ!』1994年10月号



 かつては、マイナーな雑誌でしか、お目にかかれなかったナンシー関も、「週刊文春」などでコラムを持つようになり、メジャーな存在になってしまった。

 短い文章に、消しゴム版画の似顔絵を組み合わせ、テレビ番組や芸能人を批評する、という独自のスタイルを築いてしまったが、恐るべき手先の器用さに加えて、その秀逸な文章は、もはや誰も真似できない境地に達してしまっている。

 このロングインタビューは、ナンシー関の、誰も知らない過去に初めて踏み込んだ企画と言えるだろう。驚くべき事に、消しゴム版画の手法は高校時代に独学でマスターしていたといい、また、文章に関しても特に修行した経験もないという。

 また、ナンシー関流のテレビの見方も紹介されている。ビデオ四台を駆使して一日中ウォッチしている様は、もはや圧巻としかいうほかはない。

 ナンシー関のことを、テレビを一日中見て、人の悪口を書いているだけ、と思ったら大間違いである。

 最近の週刊誌でよく見かけられる「天下の暴論」シリーズを、ナンシー関は『達人の論争術』(別冊宝島EX)で分析している。ナンシー関にも「天下の暴論」シリーズの発注はくるというが、これに対しては、「嫌悪を、ちゃんとした言葉になるまで熟成する見通しが立たずに、お断りするというのが多い」と述べている。

 並の物書きが、吐ける言葉じゃないことだけはお分かりいただけるだろう。



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