1994.12.10

▽『大恐慌の謎の経済学』



関岡正弘『大恐慌の謎の経済学』(ダイヤモンド社)



 瀬木太郎のペンネームで『石油を支配する者』(岩波新書)などを執筆してきた著者が、関岡正弘の本名で上梓した、大恐慌の研究書。

 1987年10月19日に起きた株式大暴落(ブラックマンデー)が、大恐慌の前兆ではないか、という議論が当時あった。

 本書では、1929年大恐慌についての様々な学説が検討されている。そして29年10月25日の株式大暴落(ブラックチューズデー)が、その発端であったという結論にいたる。

 「1929年の十月以降十二月までに自動車の工場出荷指数が四五%も減ったこと、そして29年第四・四半期には、第三・四半期に比較して消費支出が九億?以上減った」「巨大なキャピタル・ロスの発生(キャピタル・ゲインの消滅を含め)により、人々は耐久消費財の支出を切り詰めたのだ」

 消費の減少はただちに投資の減少へ跳ね返り、それが大恐慌の原因だった、と指摘する。80年代の日本の場合は、個人投資家ではなく、機関投資家が投機の主役だったために、ブラックマンデーを乗り越えて投機を拡大させる結果となった。

 本書が出版された89年は、まだバブル経済の余韻が残っている頃であり、本書への評価も「キャピタル・ロスの消費への悪影響を過大視している」(松本和男)など厳しいものが多かった。しかし、バブル崩壊後に突入した大不況をみれば、本書はもっと評価されても良かったといえるだろう。



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