1995.03.10

▽『ドイツ銀行』――ユニバーサルバンクの雄ドイツ銀行を徹底解剖



相沢幸悦『欧州最強の金融帝国 ドイツ銀行』(日本経済新聞社)


 
 大和銀行のコスモ証券救済、三菱銀行の日本信託救済。「特例」も二度も続けば、もはや「特例」とはいえない。日本の都銀も、やがてはドイツ型のユニバーサルバンクに近づいていくことになるのだろう。

 「欧州最強の金融帝国」という副題のつけられた本書では、典型的なユニバーサルバンクであるドイツ銀行を、成立過程、機構、業務、産業政策、国際戦略と多角的に分析している。本書によれば、ドイツ銀行は単なる商業銀行ではなく、「国家の行く末を考える銀行」だという。

 1974年、中東産油国が、ダイムラーベンツの株式の過半を取得しようとした時、ドイツ第二位のドレスナー銀行は、純粋な証券業務として、それを行おうとした。しかし、ドイツ銀行は、この買収を阻止するために市場価格から一〇%も高い価格でその株式を引き受け、「国益を考えた行動」として賞賛された。

 ドイツでは、日本と違い、銀行による株式所有に制限がないために、銀行の企業支配力はきわめて強くなっている。産業界からは、折に触れ反発の声があがるものの、銀行の支配力は揺るぎないものとなっている。

 しかし、ドイツ銀行の信用力が揺るがないのは、ユニバーサルバンクという制度のためではなく、堅実な経営姿勢の結果である、と著者は指摘する。日本の金融機関関係者には、耳の痛い指摘だろう。



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