1995.05.10

▽『日本の地価の決まり方』――「土地神話」の実態を暴く地価論議の決定版



西村清彦『日本の地価の決まり方』(ちくま新書)



 いまもっとも元気のいい新書をあげるとするならば、昨年秋に創刊された「ちくま新書」をおいてほかにはないだろう。かたいテーマとやわらかいテーマとで、書体を変えるなど、他の新書にはない凝った作りをしている。

 また、読者の関心の高いテーマを積極的に取り上げている。本書『日本の地価の決まり方』も、タイムリーな一冊と言えるだろう。

 さて、80年代のバブルから、90年代のバブル崩壊にかけて、「地価」の問題は、さまざまな形で議論がなされてきた。

 地価論議の集大成ともいえる本書によれば、日本の地価の変動は、85年まではいわゆる「ファンダメンタルズモデル」で説明できるが、86年のバブル以降は説明不能になる、という。

 ただし、85年以前であっても、日本の地価の水準は、「ファンダメンタルズモデル」による想定よりもきわめて高くなっている、という。

 現在の最大の関心事は、地価がどこまで下落するかであるが、この点については土地バブルを説明する四つの 「非ファンダメンタルズモデル」を検討したうえで著者の見方を示している。

 著者は、地価水準に大きく影響を与えている税制の歪みも、都市計画の悪意性も政治家とさまざまな圧力団体の合理的な活動の結果である、と指摘する。

 本書を読めば、「土地神話」の向こうに横たわる「現実」をみてとることができるはずだ。



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