1995.07.10

▽『中核VS革マル』

立花隆『中核VS革マル<上>』(講談社文庫)



立花隆『中核VS革マル<下>』(講談社文庫)



 『田中角栄研究』に続く、立花隆の現代史ノンフィクション。

 70年代半ばの新左翼運動の退潮期に、中核派と革マル派という二つの過激派セクトによる内ゲバ事件が相次ぎ、合わせて三〇人を超える死者を出していた。この両派の抗争についてのレポートを立花隆は74年から75年にかけて『現代』に連載し、直後に単行本にまとめている。

 当時は、田中金脈問題で日本の保守政泊も動揺していた時期でもあるが、多くの人々が「“田中問題”とほとんど同じくらいの関心をもって、両派の抗争を話題とした」という。それは、「もし、両派の抗争が、一方が他方を解体するという形で終われば、勝ち残ったほうが、共産党より左の部分を代表する最大の全国組織となる」ためだった。

 しかし、両派の抗争の裏には、双方を消耗させることを意図した公安警察の暗躍があった、と立花氏は主張している。

 最近の立花氏は、一連のオウム真理教の事件にも公安の関与があった、と主張をしているが、その原点は、おそらく本書にあるのだろう。もちろん、一部のジャーナリストの間には、そうした見方を否定する意見もあり、本当のところはわからない。

 いずれにせよ、本書にみられるような、かつての公安の実力からすれば、オウム真理教事件、特に「地下鉄サリン事件」は、公安警察の失策だった可能性が高い。もちろん、公安警察が活躍するような世の中がよいと言うわけではいが……。


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