1995.10.22

▽『戦争映画名作選』

柳沢一博『戦争映画名作選』(集英社文庫)



 今年、1995年は戦後五〇年。また、フランスのリミュエール兄弟が、パリで世界初の映画を公開して丁度一〇〇年にあたる。戦後五〇年、映画一〇〇年。いずれも多くのメディアによって特集が組まれる重要なテーマ。本書は、その両方を一遍に特集してしまおう、という大作だ。

 本書の構成は、「ヨーロッパの戦い」「アジア・太平洋の戦い」「海と空の戦い・捕虜と市民」の三部からなる。

 多くの戦争映画を、時系列・テーマごとに紹介しており、かつて見たことのある戦争映画が、第二次大戦史上のどこに位置づけられるかを再確認できる。また、同じテーマの戦争映画であっても、それが作られる時代や国によって描かれ方がいかに異なるかもよくわかる。

 巻末には、本文で紹介できなかった映画のリストも掲載されている。これらを見るといかに多くの映画人たちが、エンターテイメントからドキュメント、文芸ものまで、「第二次大戦を物量を費やし、かつ精魂を傾けて、描いているものと理解いただけると思う」。

 しかし、第二次大戦を扱った映画は70年代以降あまり作られなくなり、最近では「シンドラーのリスト」が話題となる程度でほとんど作られていない。

 第二次大戦をテーマにした映画は、なぜあまり作られなくなったのか。そして、それは何に取って代わられたのか。戦後五〇年を文化の面から考える、一つのポイントがそこにある。


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