1995.12.22

▽ミリオンセラーの正しい作り方――『頓智』創刊号

 筑摩書房が『頓智』という月刊誌を創刊した。「天下無敵の呑気雑誌」とのコピーが表紙に書かれており、談論風発的な雑誌となっている。編集長は、『筑摩文庫』や『筑摩文学の森』で、筑摩書房の立て直しに貢献した松田哲夫氏。

 この『頓智』編集部に一通のFAXが送り付けられた。「筑摩書房はミリオンセラーをなぜ出せないのか」この質問にこたえるかたちで、同社の書籍担当者を集めて会議が開かれた。では、ミリオンセラーを出す条件といえば、「当面の資金繰りも含め会社に体力があること」「ストライクゾーンを狭めてはいけない」「ハッピーエンドであること」「ただし、ノンフィクションの場合は泣けること」などなど……。

 さらにこの会議の模様を呉智英氏に見せてアドバイスを求めているが、「こういうのを面白いと思っているようじゃねぇ」と厳しい一言。世の中にはミリオンセラーの似合わない出版社もあるようで、この企画自体、半分はお遊びでやっているといえなくもない。

 松田編集長自身、78年に筑摩書房が倒産したときに、暇に明かせて単行本の一冊一冊の収支を分析したことがある、と自著『編集狂時代』述べている。

 「それまでの印象でいえば大成功と思えたものも、実は赤字になっていたとか、かなり地味な売上げと思っていたものでも、きちんとプラスになっていたものもあった」。

 話題になればいい、という訳でもないようだ。

▽松田哲夫『編集狂時代』(新潮文庫)


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