1996.02.22

▽『日本の予算を読む』――大蔵権力の源泉、予算編成の舞台裏



新藤宗幸『日本の予算を読む』(ちくま新書)



 大蔵省解体論がかまびすしい昨今だが、その権力の源泉は予算の編成権にある、といわれている。本書は、日本の予算の仕組みを描くことに主眼が置かれているが、その内容は単なる教科書的なものではない。

 「予算が、歳入と歳出に加えた政府金融の複雑かつ怪奇とすらいえる、政治と技術の交錯であることを基本として、予算の実像に迫ってみようとするものである」

 編成から実行まで足掛け四年にわたる予算は、外部から伺い知れないほど複雑なものとなっている。ブラックボックス化することが、大蔵省の戦略であった、といえるだろう。

 最近、住専問題で取り沙汰されている、「政府保証」についても記述がある。

 「内閣は国会の承認を受けた範囲内で、債務契約を民間と結ぶことができる(財政法第一五条)。これを債務負担行為というが、契約期間は最長五カ年である。そして将来、現金支出が必要とされる時は、その年度の歳出予算に支出額を計上して、国会の議決を受けなければならない」

 つまり、住専処理に際して政府保証を行う場合は、特別の立法措置が無いかぎり、国会の承認を二回受ける必要があることになる。すでに、95年度予算は税収不足に陥っており、さらなる増税が予想される。日本人の納税者意識が強まるほど、ごまかしがきかなくなるはずだ。



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