1996.05.22

▽日本経済 失敗の本質――『エコノミスト』1996年3月12日号




 『エコノミスト』誌の特集記事のなかでも、叙述の正確さで印象に残った論文が、手塚宏之氏の「経営者も教育ママもひたすら『ローリスク』を求めた日本」である。

 空母を中心とした機動部隊で制空権を押さえる「制空主兵」という独創的な戦術を編み出した日本が、大艦巨砲、艦隊決戦を踏襲し続けたのはなぜか。それは「水兵を失業させるわけにいかなかった」からだという。組織の連続性と雇用が、戦争の勝敗に優先していたためだという。

 組織内で成功したものをリーダーとする年功序列型の組織では、パラダイムシフトが起きても、従来のルールで消耗戦を続けてしまう傾向にある。

 「日本型経営システムは弱者淘汰という経営リスクを企業が相互にヘッジし合い、主要産業を長期に熾烈な競争環境に置くシステムであったが故に、全体として競争力のある経済を醸成できたのである」

 このシステムにおいては、皆と同じ判断をしている限り、企業も成長できる。年功序列に我慢する若者や、子供をよい大学に入れたがる教育ママたちも、日本的なシステムが生み出したのだ。しかし、日本ももはや従来の手法は通用しなくなった。

 日本には、大きなパラダイムシフトを、明治維新と敗戦とすでに二回経験している。ここでは、人材の解放と再配置が極めて効率的に行われた。現在の日本は、外圧によらず自らの意思で、これを行わなければならない時期に釆ている。



|

書評1990s」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ▽日本経済 失敗の本質――『エコノミスト』1996年3月12日号:

« ▽『大合併 大逆転!』――第一銀行を軸とした合併をめぐる舞台裏 | トップページ | ▽北京市長・陳希同「収賄疑獄」の全貌!――『宝島30』1996年3月号 »