2008.12.27

▽電波男が語るケータイ小説

本田透『なぜケータイ小説は売れるのか』(ソフトバンク新書)


『電波男』などで知られる小説家・評論家の本田透が、ケータイ小説を考察します。典型的なケータイ小説の設定やストーリー、ビジネスとしての側面、文壇や論壇での評価などが中心になっており、ケータイ小説とは何かを知るのにはわかりやすく読むことができます。

また、本書で指摘される二つの対比が興味深いですね。

一つは、パソコンとケータイというデバイスの対比。パソコンは突っ込みのメディアであり自意識の世界であるのに対して、ケータイは突っ込み不在のためにパソコンよりも小説というコンテンツが生成・受容されやすいのではないか、という指摘。

もう一つは、ケータイ小説とライトノベルの対比で、ケータイ小説の読者である女子高生たちは恋愛信仰にどっぷりと浸っているのに対して、ライトノベルの読者である男子高生は反対に、自意識が発達しており、恋愛というゴールが存在しないライトノベルの方を好むという。

《恋愛信仰にどっぷり浸かったクラスメイトの少女がケ一夕イを使って『恋空』や『赤い糸』を読んでいる。その横で、自意識に目覚めてしまった少年は 『涼宮ハルヒの憂整(角川スニーカー文庫)などのライトノベルを読みながら、現実には存在しない学園、セックスやレイプや妊娠やドラッグに侵されていない 学園を脳内に幻視する。
 同じ教室にいる生徒が『赤い糸』と『涼宮ハルヒの憂鬱』とに分離している。そして、お互いをおそらくは敵視し、あるいは無視し、関わり合いにならないように自らのパーソナル・エリアを守りながら生き続ける。》(p.234)

[目次]
序章 ケータイ小説七つの大罪
第1章 ケータイ小説のあらまし
第2章 ケータイ小説市場の最前線
第3章 ケータイ小説の内容
第4章 ケータイ小説を巡る言説
第5章 なぜケータイ小説は売れるのか


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