2009.02.28

▽新自由主義国の中の社会主義

ロジャー・ローウェンスタイン『なぜGMは転落したのか―アメリカ年金制度の罠』(鬼澤忍訳、日本経済新聞出版社)


『なぜGMは転落したのか―アメリカ年金制度の罠』という邦題だが、実際のところGMと全米自動車労組(UAW)についての記述は第一部だけで、第二部は全米運輸労組(TWU)、第三部はサンディエゴ市と、それぞれの年金問題に費やされています。

原題に"While America Aged"とあるように、「アメリカが老いている間に」、特定の労働組合に所属している労働者だけは、とても手厚い年金や社会保障を得られるようになっており、なぜそうした特権が認められるようになったかの歴史が綴られています。淡々と事実を積み重ねていくジャーナリスティックなスタイルの上に、なじみの無い人名や組織名が続くため、あまり読みやすいとは言えませんが。

これまでアメリカは、新自由主義の国と見なされ批判されてきたかと思いますが、実際は、新自由主義の荒波の中に、ところどころに、きわめて強固で社会主義的な島が浮かんでいるような、そんな特殊な国だったということを改めて実感させられます。

[目次]
第1部 誰がGMを殺したか
 ビッグスリーとデトロイト協定
 妥協と無策の果てに
第2部 年金をめぐる戦い
 「公務員」という名の特権階級
 ストライキ!
第3部 自治体が破産するとき
 最高の都市、サンディエゴ
 年金をめぐる陰謀
 支払期日の到来
結び 打開策


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