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2009年3月

2009.03.30

▽官僚すべてを敵にした男の告白

高橋洋一『さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社)


『さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白』は、元財務省官僚の高橋洋一が、小泉政権時に手がけた郵政民営化や政策金融機関の改革の舞台裏を描いたものですが、いかに財務省から嫌われていたかが、わかります。

しかし、このニュースにはびっくりしましたね。

小泉政権ブレーン・高橋洋一教授を窃盗容疑で書類送検
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090330-OYT1T00754.htm
《警視庁練馬署は30日、温泉施設のロッカーから財布や腕時計を盗んだとして、元財務官僚で東洋大教授の高橋洋一容疑者(53)を窃盗容疑で書類送検した。
  同署幹部によると、高橋容疑者は24日午後8時ごろ、東京都練馬区の温泉施設「豊島園庭の湯」の脱衣所で、区内に住む男性会社員(67)が使っていたロッ カーから、現金約5万円が入った財布や、数十万円相当のブルガリの高級腕時計を盗んだ疑い。ロッカーは無施錠だったという。
 男性の通報で駆けつ けた同署員が調べたところ、防犯カメラに高橋容疑者に似た男が写っていたため、浴場から出てきた高橋容疑者に事情を聞くと、盗んだことを認めたという。調 べに対し、高橋容疑者は「いい時計だったので、どんな人が持っているのか興味があり、盗んでしまった」と供述しているという。
 逮捕しなかった理由について同署は「証拠隠滅の恐れがないと判断したため」としている。
  高橋容疑者は小泉政権で竹中平蔵・元総務相のブレーンとして郵政民営化などを推進。安倍政権では内閣官房参事官として公務員制度改革の青写真を描いたが、 2008年3月に退官。「さらば財務省!官僚すべてを敵にした男の告白」などの著書がある。東洋大は「教育に携わる者として許し難いことであり、厳正に処 分を行いたい」としている。》

高橋洋一『さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社)
[目次]
序章 安倍総理辞任の真相
第1章 財務省が隠した爆弾
第2章 秘密のアジト
第3章 郵政民営化の全内幕
第4章 小泉政権の舞台裏
第5章 埋蔵金の全貌
第6章 政治家vs.官僚
第7章 消えた年金の真実
終章 改革をやめた日本はどうなる

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2009.03.14

▽産経新聞の抱える闇とは

中川一徳『メディアの支配者 上』(講談社)


中川一徳『メディアの支配者 下』(講談社)


本書は、社史の書かれないフジサンケイグループについて、その誕生から、ホリエモンによるニッポン放送株買収騒動が勃発する直前までの歴史を描いたものである。もちろんフジテレビ内部の暗闘もすさまじいものがあるのだが、同じ筆者による『月刊現代』2008年1月号の記事でも明らかにされているように、産経新聞も大きな闇を抱えていることが伺える。


中川一徳『メディアの支配者 上』(講談社)
[目次]
プロローグ
第1章 彫刻の森―鹿内信隆のつくった王国
第2章 クーデター―鹿内宏明解任
第3章 抗争―日枝久の勝利
第4章 梟雄―鹿内信隆のメディア支配(前)

中川一徳『メディアの支配者 下』(講談社)
[目次]
第4章 梟雄―鹿内信隆のメディア支配(後)
第5章 華麗なる一族―後継者・鹿内春雄
第6章 改革者―鹿内宏明の試み
第7章 宿命―フジサンケイグループの抱える闇
エピローグ

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2009.03.13

▽ホリエモンの右腕だった男の弁明の書

宮内亮治『虚構 堀江と私とライブドア』(講談社)


ホリエモンの『徹底抗戦』を読んだので、こちらも読んでみました。本書も、それなりに説得力はあるので、まさに「真相は藪の中」という感じですね。

興味深かった点は
・近鉄買収は単なる話題づくりだった
・ニッポン放送買収も初めからイグジットを考えていた
・ソニー買収はありえない
・ボーダフォン買収は食指が動いていた(資金調達次第)
といったところでしょうか。

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2009.03.12

▽ホリエモンが語る塀の中の暮らし

堀江貴文『徹底抗戦』(集英社)


ホリエモンこと、元ライブドア社長で、2006年1月に証券取引法違反の容疑で、東京地検特捜部に逮捕された堀江貴文の反論の書。高裁判決までは執行猶予無しの実刑判決だったが、最高裁判決を前に、反論すべきことは反論しておこう、というのが出版の趣旨のようだ。

本書で興味深いのは拘置所の独房暮らしの過酷さ。特に、土日の取り調べがない日に他人と接する機会が無いことから生じる孤独さや、いつまで拘留され 続けるのかがわからない不安感は、ホリエモンですら精神的にへこませてしまい、検察と妥協する寸前まで追い詰められてしまったという。

反論の部分についてはおきますが、ホリエモンは偽悪的ではあっても本物の悪人ではない、というのが私の本書を読んだ感想ですね。

[目次]
予兆—“虎の尾”を踏んだ、ニッポン放送株買収と衆院選出馬
魅惑のフジテレビ
いざ、買収へ
敵対的買収
意外な「援軍」
立候補した理由
日本にも大統領制を
幻のソニー買収作戦

青天の霹靂—逮捕、そして勾留へ
強制捜査
証拠隠滅なんて…
ストップ安
本当の戦犯
野口英昭氏の怪死
後任社長が平松庚三氏になった理由
私は仕手戦の株屋なのか?
容疑者ルームにて
逮捕の日
勾留決定
検事、取調べ開始
独房の日々
気の利く差し入れ
風呂でオナニー
嗚咽するほど泣いた話
熊谷氏との邂逅
読書の話
刑務所の中
起訴後勾留
温かい刑務官
ラジヲの時間
内藤検事登場
自分との闘い
保釈の日

徹底抗戦—われ、検察とかく戦えり
保釈直後
対人恐怖症の克服へ
初公判へ向けて
徹底抗戦!
公判前夜
世論の変化
究極の「政治屋」亀井静香
地裁判決の日
ゴルフ道
税務調査
控訴審
上告へ
ライブドア事件の本質

真相—いまだから書ける、あんなことこんなこと
株主総会のこと
世界的企業を目指した理由
SBI北尾吉孝氏のはなし
拝金主義について
悪役(ヒール)へ
突撃記者・日本テレビ木下黄太氏
検察制度改革
保釈金のこと
過剰報道
懲役の恐怖
将来のこと
その後のライブドア
人を信じるということ

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2009.03.11

▽元検事が「朝ズバッ」を追及する

郷原信郎『思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)


小沢一郎の秘書逮捕後に、一躍、時の人になった感のある元検事の郷原信郎ですが、小沢秘書逮捕の直前に、秀逸なメディア・検察批判の書を出していました。特に、TBS「朝ズバッ」における不二家への報道被害に関しては、うやむやな内部調査でお茶を濁したTBSを、厳格な調査を行った関西テレビ「あるある大事典」と比較して、過剰な法令遵守社会のダブル・スタンダードを次のように批判しています。

《もしTBSが、「あるある」について関西テレビが行ったように、「朝ズバッ」での不二家関連報道全体について自主的な検証を行わざるを得なくなっていたら、一月二二日の放送以外にも捏造や真実性に問題がある報道が明らかになった可能性があります。……報道による被害という意味では、関西テレビの「あるある」より、TBSの「朝ズバッ」のほうがはるかに大きいのではないでしょうか》(pp.177-178)

[目次]
第1章 食の「偽装」「隠蔽」に見る思考停止
第2章 「強度偽装」「データ捏造」をめぐる思考停止
第3章 市場経済の混乱を招く経済司法の思考停止
第4章 司法への市民参加をめぐる思考停止
第5章 厚生年金記録の「改ざん」問題をめぐる思考停止
第6章 思考停止するマスメディア
第7章 「遵守」はなぜ思考停止につながるのか
終章 思考停止から脱却して真の法治社会を

郷原信郎『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)


[目次]
第1章 日本は法治国家か
第2章 「法令遵守」が企業をダメにする
第3章 官とマスコミが弊害を助長する
第4章 日本の法律は象徴に過ぎない
第5章 「フルセット・コンプライアンス」という考え方
終章 眼を持つ組織になる

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2009.03.10

▽アントニオ猪木のリアルと非リアル

柳澤健『完本 1976年のアントニオ猪木』(文春文庫)

プロレスがあらかじめ創られたシナリオにそって行われる格闘技であることは、ファンだけではなく一般人の間でも、うすうす気づかれている事実であった。すべての試合が八百長であったならば、話は単純なのだろうが、時々、リアル・ファイトの真剣勝負が紛れ込むことから、プロレスというスポーツの様相は、複雑になってくる。この機微こそが、日本のプロレスの魅力と言えるだろう。

本書は、アントニオ猪木が1976年に戦った4つのリアル・ファイト――柔道家のウィリアム・ルスカ、ボクシングのモハメド・アリ、韓国のプロレスラー、パキスタンの格闘家――を中心に据えて、アントニア猪木と日本のプロレス界の表と裏を描き出す。こうした優れたノンフィクションが書かれてもなお、いくつもの謎が残されてしまうのが、アントニオ猪木のすごいところなのかもしれない。

[目次]
はじめに プロレスを変えた異常な4試合
第1章 馬場を超えろ-1976年以前
第2章 ヘーシンクになれなかった男-ウィリエム・ルスカ戦
第3章 アリはプロレスに誘惑される
第4章 リアルファイト-モハメッド・アリ戦
第5章 大邱の惨劇-パク・ソンナン戦
第6章 伝説の一族-アクラム・ペールワン戦
第7章 プロレスの時代の終わり
終章 そして総合格闘技へ
アントニア猪木が語る『1976年』

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