2009.04.17

▽クーポン・マガジンの誕生秘話

平尾勇司『Hot Pepper ミラクル・ストーリー』(東洋経済新報社)

"クーポン・マガジン"という新しいジャンルのフリー・ペーパーであるHot Pepprを事業として成功させたリクルート社員の体験記。

Hot Pepperの前身は、「サンロクマル」という情報誌だったが、地域ごとにばらばらに運営されていたため赤字が続いていた。著者は、唯一成功していた北海道・札幌の「サンロクマル」を分析して、札幌の「サンロクマル」の成功の要因を指摘する。<1>飲食店、特に居酒屋の広告が多い。<2>営業商圏が狭い。<3>クーポン掲載必須。<4>働く女性の動線にそっている、などで、これらの方針が全国のHot Pepprへ受け継がれた。

また、飲食店の割引クーポンをつけることに関しては、次のように説明している。

《クーポンは値下げではない。売れない→定価を下げる→利益が下がる→減価・経費を下げる→人件費をを下げる→所得が下がる→物が買えない→物が売れないというデフレスパイラルの最大の間違いは「定価を下げた」ところにある。》(pp.42-43)

《クーポンは「定価はそのまま」で、時間を限って、ユーザー対象を限って、商品を限って、個数を限って行う賢い価格政策だ。いつもはこんな価格のサービスを今回は特別に……お得感を増幅させる。効果抜群の価格コントロールである。》(p.43)

さらに、製作体制は、ウェブ入稿システムで日本のどこからでも原稿を入れられる仕組みを作り、日本全国に印刷工場を配置することでローコストを実現している。

以上のようなことが始めの50ページくらいに書かれていて、あとは、プロジェクトX風の営業マン心得とか、組織運営のノウハウなんかが紹介されています。

いま雑誌不況とか言われて雑誌の休刊が続いていますが、紙かウェブかという対立はさておき、紙媒体に限って言えば、既存の出版社の持ってる中央集権的な生産体制は時代にあわなくなりつつあり、ローカルに根ざした地域分散的な広告営業や生産体制が活路なるのでしょう。

[目次]
第1章 『ホットペッパー』の本当のすごさ
第2章 『ホットペッパー』とはいったい何なのか?
第3章 失敗が教えてくれた11の警告
第4章 事業立ち上げの仕組みづくり
第5章 急成長のキッカケとそのしかけ
第6章 顧客接点づくりの仕組み化
第7章 セオリーに反する営業の仕組みづくり
第8章 マネジメント・リーダーの育成


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