2009.04.17

▽フリーペーパーの発展の日本と海外の違い

稲垣 太郎『フリーペーパーの衝撃』(光文社新書)


本書はフリーペーパーの現状をレポートしたもので、日本だけでなく海外の情報も豊富である。日本でフリーペーパーといえば「R25」を始めとする無 料週刊誌スタイルのフリーペーパーが多いのに対し、海外ではスウェーデン発祥「メトロ」に代表される日刊無料紙スタイルのフリーペーパーが定着している。

日本でも、2002年に日刊無料紙として「HEADLINE TODAY」が創刊されたが、わずか4カ月で週刊へと後退してしまった。この要因としては、日本の通信社からの記事配信を受けられずロイターやブルームバーグなどの外電が記事の中心になってしまったこと、大手広告代理店の協力がえられなかったこと、キオスクで販売されている有料紙への配慮から地下鉄構内 にラックを置かせてもらえなかったこと、印刷や用紙の調達にも協力がえられなかったこと、ストレート・ニュース中心の紙面が支持されなかったこと、などが上げられる。同紙は週刊誌化し、記事も柔らかいニュースを中心にしてからは軌道に乗りつつあるようだが、日本では、既存の新聞ビジネスに切り込んでいくには、かなり大変なことであることが伺える。

[目次]

はじめに
第1章 異業種出身の成功者たち
  1 フリーペーパーとは?
  2 創業者3人の軌跡
第2章 フリーマガジン大国・日本
  1 無料誌ブームの主役リクルート
  2 趣味性・嗜好性の分野へ拡大
第3章 問われる広告効果
  1 ターゲット媒体として注目
  2 信頼性を獲得する道は?
  3 まとまらない業界組織
  4 潜在ニーズを掘り起こせ
第4章 海外に浸透する日刊無料紙
  1 スウェーデンから全世界に広がる『メトロ』
  2 ライバル無料紙も続々
  3 無料紙が伸びる土壌
  4 紙面の質をめぐる競争で二紙が限界?
  5 広告だけで新聞ジャーナリズムは成り立つか?
第5章 日本に『メトロ』が誕生する日
  1 『ヘッドライン・トゥデイ』の挑戦と挫折
  2 首都圏に誕生する可能性
第6章 誰でも出せる「紙のブログ」
  1 高校生たちが挑戦したフリーペーパー発行
  2 大学キャンパスは大きな市場
第7章 有料と無料の違いって何だ? 吉良俊彦氏との対談
  おわりに


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