2009.04.23

▽アマゾンに対するアンビバレントな気持ち

横田増生『アマゾン・ドット・コムの光と影』情報センター出版局)


本書は、流通関係の業界紙で記者をしていた著者が、日本のアマゾンに書籍のピッキングを行うアルバイトとして潜入し、その体験を中心にまとめたものである。2005年4月の出版ということもあって、アマゾンの決算や経営方針に関する考察はデータがやや古くなっているが、潜入ルポの部分は、とても興味深く読むことができる。

特に、アマゾンの利用者の世帯年収は500万円を超えているのに対して、アマゾンで働くアルバイトの年収は200万円そこそこ、という現実を前に、著者はアマゾンに対して次のようなアンビバレントな心情を吐露している。

《私の心のなかには、職場としてこの上ないほどの嫌悪感を抱きながらも、一方利用者としてはその便利さゆえにアマゾンに惹きつけられていくという相反する気持ちが奇妙に同居していく。
 そしていつもその気持ちに、居心地の悪さを感じていた。》

[目次]
プロローグ 密かに急成長するアマゾンジャパン
第1章 アマゾン・ドット・コム上陸前夜
第2章 アマゾン心臓部・物流センターの実態
第3章 空虚な職場に集う人々
第4章 アマゾンの秘密主義を恐れる出版業界
第5章 日本で躍進した本当の理由
第6章 その強さの裏側にある底辺
第7章 アマゾンの目指す「完成形」
エピローグ アマゾン化する社会の行方


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