2009.05.16

▽日本最大のレシピサイト「クックパッド」の作り方

上阪徹『六〇〇万人の女性に支持される「クックパッド」というビジネス』(角川SSC新書)


本書は、料理のレシピ・サイト「クックパッド」の誕生から、運営を軌道に乗せるまでの苦労を綴ったものである。クックパッドは、ユーザーが料理のレシピ投稿できるCGM(Cosumer Generated Media)サイトとして、1997年に設立された。現在は600万人ものユニーク・ユーザーを集める人気サイトに成長した。

クックパッドは、ユーザーに楽しんでもらうことを基本に置いてきた。開設以来、レシピの投稿のしやすさや検索のしやすさなどを追求してきた。また、ユーザーは無料でレシピを見たり投稿することができるが、人気レシピのランキングは有料会員にならないと見ることができない。

広告についても、ユーザーにメリットのある広告を選んで載せるほか、食品メーカーとタイアップして、レシピ・コンテストを開催するなど、料理の楽しさを追求することを、常に追求しているのが成功の秘訣といえる。

無料会員と有料会員との差別化、使いやすさ・参加しやすさのの追求、ユーザーにとっても役に立つ・楽しめる広告を選択的に入れる、といった点は、他のCGMサイトにも参考になることだろう。

[目次]
はじめに

序章 女性なら知っている。料理サイト「クックパッド」
 数百万人の女性が、週に一度は訪れている
 どうして五〇万件ものレシピが、投稿されているのか
 たくさん使いたい材料で検索する人も多い
 二〇万人が広告主の登場を待っている「レシピコンテスト」
 料理が楽しくなることをやる。それ以外はやらない

第一章 就職を選ばなかった男が、辿りついた目標
 学生では、すべてがイベントになってしまう悔しさ
 お金の保証を会社に預けてしまう、という恐怖
 今の世の中の延長線上に、スカッとした笑顔が出てくるか
 アメリカから日本に戻って知った、日本の食の豊かさ
 ユーザーが″増えない努力″をしていた創業期

第二章 クックパッドは、なぜ「女心」をつかんだのか
 情報の送り手側はユーザーに甘え、倣慢になっている
 まずはユーザーを正しく理解する、ことから始める
 ただ入力するだけではダメ。楽しく入力できないと
 説明が必要なサービスは、レベルが低い
 「肉じゃが」だけで、約二〇〇〇種類もある意味
 小さなほころびを絶対に放置しない。だから、安心できる
 十三文字を超えると可読性が下がり、二四文字を超えるとさらに下がる

第三章 細やかなサービスを実現するのは、テクノロジー
 テクノロジーは道具。重要なのは、それで何をするか
 ユーザーの期待を上回る動線を用意できた理由
 ユーザーの印刷率は、ほしい情報が手に入ったかのバロメーター
 PDCAを圧倒的にしやすくするのが「Ruby」だった
 日本の製品には説明が多い。これではグローバルで戦えない

第四章 広告を見た人から「ありがとう」といわれるサイト
 マスメディア的なネット広告で果たしていいのか
 成功や失敗は、自分の意志でコントロール出来る
 ユーザー一〇〇万人。でも広告は安易に入れなかった
 必要なのは、どんな広告が成立し得るか、事例をたくさん作ること 
 広告主にもユーザーにも魅力。レシピコンテスト
 定番ブランド商品の需要底上げ。典型的な成功例「焼肉のたれ」
 意外な商品が大ヒットした「ロングテール商品の再評価」
 なかなか売れなかった商品に、ユーザーから「ありがとう」の声
 メーカー側が思ってもみなかった商品の使い方が生まれた
 日々の食卓決定をしているユーザーに「新商品の垂直立ち上げ」
 飲料メーカーがクックパッドを使ってプロモーション
 広告主自らが自信のレシピを提案する「スポンサードキッチン」
 二週間でプラス二〇万世帯の食卓に、お酢を使った料理が並んだ
 料理が楽しくなるのなら、どんな広告主でも活用できる
 モノを買うには、理由が必要な時代。動機付けができているか
 お金を払ってくれる顧客だけを見ていると、事業を見誤る
 検索データベース「たべみる」から見える、本当のユーザーの気持ち
 エリアごとの週次データに出てくる「旬」ではなく「欲求」

第五章 六〇〇万人を呼び込む「経営」と「マネジメント」
 オフィス環境に徹底的にこだわるのは、それこそ経営力だから
 一緒に仕事をする外注も、プロかどうかを厳しく選定する
 新オフィスへの引っ越しパーティに、佐野が待ったをかけた
 残業するよりしないはうがトクをする「ノー残業手当」
 インターネットは、まだ社会で一パーセント程度しか生かされていない

おわりに


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