2009.10.22

▽オバマ・ショックとは何か?

越智道雄・町山智浩『オバマ・ショック』(集英社新書)


オバマ・ブームに便乗した本かと思い、長い間、積ん読になっていたのですが、読んでみたら面白かったので、要点を箇条書きにしておきます。アメリカ史におけるオバマの位置づけが、わかると思います。

・ブッシュの8年間でアメリカは、絶頂からどん底まで落ちた
・1980年のレーガンから28年間続いた共和党支配が終焉した
・「イラク=テロの黒幕」説はアメリカの主要メディアで否定されたが米国民の7割は支持していた。2007年でも4割が支持している
・アメリカ人が新聞を読む比率は3割以下、ニュースサイトを読むのは11%
・ブッシュはソーシャル・セキュリティ(社会保障制度)は連邦政府の仕事だということを知らなかった
・ブッシュは父親からバカにされていた
・父親ができなかったフセイン討伐をするが、逆に、父親から叱られてしまう
・「歴史になるころには私たちはもう死んでるよ」と発言したブッシュには歴史意識が欠如していた
・ブッシュはソーシャル・セキュリティ(社会保障制度)を解体しオーナーシップ・ソサエティへの移行を進めようとしたが結果として住宅バブルを招いた
・モノを作ってるうちは労働倫理が国民精神のバックボーンとなるが、富が蓄積されるとモノを作らなくなり国が衰退する
・イラク戦争と、イギリス衰退のきっかけとなったボーア戦争は似ている
・政治や経済が衰えても文化は残る。ギリシャやローマやイギリスの文化は残ったが、アメリカのポップ・カルチャーは生き残れるかわからない
・いまハリウッドには全然お金が入ってこない。ハリウッドの産業規模はゲーム業界を下回る
・共和党支持基盤の白人ですら「もうバカやっちゃいられない」とレーガンやブッシュ路線の共和党に決別し、オバマに投票した
・オバマはマジック・ニグロ=過去のない黒人、つまり先祖に奴隷経験がなかった黒人
・オバマは人種、階級、宗教、コミュニティ、家族関係など、あらゆる面でどこにも帰属してこなかった「絶対的アウトサイダー」
・ミシェル夫人と結婚して「人種的アイデンティティのある家庭」を手に入れることができた

なかなか面白いのでお薦めです。

[目次]
第1章 オバマがチェンジ(変革)するもの—レーガン連合の二八年
第2章 失われた八年—ブッシュとは何だったのか
第3章 アメリカン・ドリームという博打—サブプライムと投機国家
第4章 覇権国家の黄昏—衰える軍事、経済、文化のヘゲモニー
第5章 異端児か、救世主か—オバマが選ばれた理由
終章 彼の「強運」は世界の味方なのか—オバマの未来、アメリカの未来


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