2009.10.17

▽うつ病じゃないけど、うつな人のための本

日垣隆『折れそうな心の鍛え方』(幻冬舎新書)

日垣隆の著作は、少年法や事件のルポ以外は、あまり評価しておらず、自己啓発本の類は読んだことはなかったのですが、本書のプロローグに綴られた、自身の体験により、本書を、ある種のノンフィクションとして読みました。

[参考]プロローグと第一章
http://www.gfighter.com/images/shop/orespunatachiyomi.pdf

まあ簡単に言えば、人間誰しもうつな状態になることはある、医者や薬に頼らずに、自分の力でやり過ごそう、というのが本書の主張である。そのためのハウツーが、著者の経験を交えつつ書かれている。

たとえば、人間の脳内にはセロトニンという物質があり、これが欠乏すると、鬱状態になるという。そして、セロトニンを活性化させるのによい方法とは、「よく歩くこと、よく物を噛んで食べること、腹式呼吸をすること」(p.82)という。

第五章では、泣ける映画を観て、涙を流すことで、うつからの回復を促すことを薦めており、そのための「泣ける映画ベスト30選」があげられている。

[目次]
プロローグ――「医療関係者のみなさん、しばらく黙っていてください」

第一章 「勝手に自己診断」編
1「喪失の落ち込み」をウツ病にするのはもうやめよう
2「バカボンのパパ」は変人だから愛される
3 会社に行けずディズニーランドは楽しくても、自分を責めない
4「好きだったことがイヤになった」は落ち込みのバロメーター
5 しんどくても、日常生活が破綻していないなら大丈夫
6「イヤ」の理由を分析すると、解決策が見えてくる
7 自分がどの手のトラブルに弱いのか知っておこう
8 共感力が高い人はウツがうつりやすいので要注意
9「ほかの人は平気でも自分には耐えられない」ことはあって当然

第二章 とりあえず「ガス抜き」編
10「ストレス耐性」のコップを溢れさせない
11「時間の経過」だけに任せず、小さなガス抜きを繰り返す
12 話を聞いてくれる人の力を借りて、毒を吐き出す
13 原因を人のせいにする愚痴は、ストレスを育てるだけ
14 じっくり相手を選ぶより、「誰でもいいから即相談」
15「何だか不安」は「何が不安か」が分かっていないから
16「自分のつらさは特別」という思い込みをぶち壊す
17 たくさん笑う。思いきり泣く。我慢しないで言葉にする。
18 人は自分で超えられる悩みや落ち込みしか抱えない

第三章 「まずは応急処置」編
19「忘れる」「取り戻す」「埋め合わせる」で喪失を乗り越える
20 一発逆転を狙わず、やれることは全部やる総力戦で
21 「三カ月で立ち直る」と期限を切ろう
22 人に「がんばれ」と言わせず、自分ではがんばる
23 「始めるためのハードルを下げる」工夫に力を注ごう
24 ジャージで一日ゴロゴロしていいのは、元気な人だけ
25 ぼんやり見ているテレビはエネルギーを奪うのでご用心
26 二八年間サバイバル生活をした横井庄一さんの本を読む
27 よく歩きよく噛みよく呼吸して、自前のセロトニンをつくる
28 パラセイリングとジェットスキーでスカッとする
29 占いのためだけに台湾旅行をしてみる
30 パートナー以外の異性を交えた三人旅をする
31 「給料以外に稼ぐこと」がストレスを減らす鍵になる
32 打ち明け話をするなら中年サラリーマンより女子高校生に
33 七割の人にほめられ、三割に批判されるのがちょうどいい
34 犬を飼って「自分が必要な存在である実感」を取り戻す

第四章 「日々、鍛えてみよう」編
35 ちょっと難しい課題を引き受けて「自分の器」を大きくする
36 才能ある人とは、自分なりの「鍛える努力」を続けられる人
37 諦めずに抵抗すれば、老眼だってずっと先延ばしにできる
38 努力しない長生きタイプは努力する短命タイプに勝てない
39 自分への期待値が高すぎる人は挫けやすい
40 「やればできるけど苦手なこと」は無理してやらない
41 「人に任せられること」は自分で思っているより多い
42 失業もウツも「最悪の事態」を経験できる貴重な機会
43 映画に誘える異性、自分と発想が異なる同性の友人をもつ
44 退屈にも多忙にも翻弄されない自分のペースを持って生きる
45 「いずれ関係が破綻しそうな人」は早めに見限っておく
46 迷ったら縦軸・横軸の四分割で考えるとうまくいく
47 「どうすればいいですか?」は失敗をカバーする魔法の言葉
48 嫉妬は「自分への他者評価」を上げるバネになる
49 一パーセントの可能性にかける潔さをもつ
50 落ち込んだら、まず出口をイメージするのが回復の第一歩

第五章 大人たちよ、映画を観てもっと泣こう――泣ける映画ベスト30選
なぜ「泣ける映画ベスト30選」か
「シンデレラマン」 /「遠い空の向こうに」(と「フラガール」)
「セント・オブ・ウーマン」 /「男たちの大和 YAMATO」
「サトラレ」と「天国までの百マイル」 /「学校Ⅱ」
「明日の記憶」 /「ライフ・イズ・ビューティフル」
「ショーシャンクの空に」/「レインマン」
「アメリカン・プレジデント」 /「スタンドアップ」
「山の郵便配達」
「僕の彼女を紹介します」「ラブストーリー」「猟奇的な彼女」「コールドマウンテン」「ひまわり」
「ターミナル」 /「JSA」
「ギャラクシー★クエスト」 /「あの子を探して」
「グッバイ、レーニン!」と「やさしい嘘」
「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」
「RUDY 涙のウイニングラン」/「ラスト・プレゼント」
「ある愛の詩」より断然「ホリデイ」
「オールド・ルーキー」 /「變臉 この櫂に手をそえて」
「ALWAYS 三丁目の夕日」 /「象の背中」
「ベンジャミン・バトン」「エレジー」「歩いても 歩いても」
「SEX AND THE CITY」 /「グラン・トリノ」


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