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2009年12月

2009.12.31

▽当ブログで売れた本――2009年

当ブログで、2009年に売れた本十傑を紹介します。

まあ、ランキングをつけるほどは売れていないので、あくまでも十傑ということで・・・・・・。

『ほぼ日刊イトイ新聞の本』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/10/post-6685.html
『やりがいある仕事を市場原理のなかで実現する!』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/12/post-84fe.html
『600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/05/post-65fd.html
『フリーペーパーの衝撃』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/04/post-3385.html
『ガラパゴス化する日本の製造業』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2008/12/post-581c.html
『シビックプライド―都市のコミュニケーションをデザインする』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/12/post-d65f.html
『ヒット企業のデザイン戦略 イノベーションを生み続ける組織』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/12/post-b603.html
『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/11/post-feeb.html
『日本「半導体」敗戦』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/12/post-b1e8.html
『「うそつき病」がはびこるアメリカ』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/01/post-d711.html

当ブログで取り上げる本のコンセプトは、基本的には「クロス・カルチュラルなノンフィクション」です。もちろん例外もありますが、ノンフィクションで異文化がクロスするような内容のもの、あるいは、時代の転換点を分析するようなもの、が中心です。

献本もお待ちしていますので(笑)、ここをご覧になられている出版社の方がいらっしゃったら、右カラム上の「メール送信」のところをクリックしてご連絡いただければ幸いです。

では、これからもいっそうの内容充実をめざして精進しますので、今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

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2009.12.22

▽ヒット企業のデザインとイノベーションの戦略を紹介する

『ヒット企業のデザイン戦略 イノベーションを生み続ける組織』(英治出版)


本書のタイトルにある「デザイン」とは、日本語のデザインが意味する「製品の形状」よりも、もっと幅広い意味を持っている。

本書では、「ビジネス・モデルをいかに設計するか」という視点から、概念的なものだけでなく、iPodのヒットやハリーポッター現象など、豊富な事例を数多く紹介しており、読みやすい。

[目次]

プロローグ イノベーションは誰が起こす?

1 新時代のイノベーター
 フォード――スタイリッシュ・カーへの転換
 ワールプール――白物家電からの脱却
 ニューバランス――顧客中心のデザイン
 イノベーターになるには?

2 残された唯一の道
 イノベーションは発明を超える
 フォードのモデルチェンジが意味するもの
 ベンチャー企業のイノベーション
 コモディティからの脱却
 有機的成長をめざす
 アジア企業の台頭
 イノベーションの波に乗る

3 イノベーションをデザインする
 アディダス・ワンの挑戦
 全てはインサイトから始まる
 曖昧さを受け入れる
 本能に従え
 イノベーションの基本プロセス
 基本ルール――イノベーターの思考回路

4 トレンドをデザインする
 キャズムを越える
 SET要因でトレンドを読む
 トレンドの波には逆らえない
 ヒントは日常のなかにある
 ミラチュア誕生

5 ファンタジーをデザインする
 ハリーポッター現象が示すもの
 経験経済からファンタジー経済へ
 形状にメッセージをこめる
 日用品にもファンタジー
 ファンタジー志向が企業を変える

6 ステークホルダーをデザインする
 ルブリゾール――技術志向から顧客志向へ
 パワーズ・オブ・テン分析
 パワーズ・オブ・テンを活用する
 リアルな人物像を描き出す

7 B2B製品をデザインする
 最後のフロンティア
 B2Bのファンタジー
 レッドゾーン・ロボティクス――倒産からの再生
 三つの戦略
 製品にブランドメッセージをこめる
 産業の未来を創る

8 意思決定をデザインする
 複雑で膨大な意思決定をコントロールする
 トレードオフへの対処
 バタフライ効果
 カオスを歓迎せよ
 成功を導く意思決定

9 商品機会をデザインする
 ニューバランスのブランド・エクイティ
 産学連携によるイノベーション
 CASE STUDY――肥満者市場を開拓する

10 知財戦略をデザインする
 P&G――知財戦略で優位に立つ
 ノウハウを守れ
 知的財産権――特許
 知的財産権――意匠特許
 知的財産権――著作権と商標
 知的財産権――トレード・ドレス
 知的財産権――トレード・シークレット
 知的財産権――特許の仮出願
 商品システムの特許
 製造と提供の特許
 アイデンティティを保護する

11 チームをデザインする
 なぜ失敗するのか?
 IDEO――エンジニアリングとデザインの融合
 社外コンサルタントを活用する
 リサーチからインサイトを得る
 ソフトとハードのバランスをとる
 多様性を活かす

エピローグ イノベーション・パワー
 個人のパワー
 企業を方向転換させるパワー
 市場を拡大させるパワー
 地域環境を再生させるパワー
 グローバルに展開するパワー
 アートと科学のルネサンスチーム

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▽シビックプライド――ヨーロッパにおけるケーススタディ

読売広告社都市生活研究局『シビックプライド―都市のコミュニケーションをデザインする』(宣伝会議)


本書によると、「シビックプライド」(Civic Pride)とは、「市民が都市に対してもつ誇りや愛着のこと」(p.164)という。このシビックフライドは、近年の日本でも、注目を集めているもので、その理由として、地方都市で顕著になりつつある人口減少と、地方分権による都市間競争の二つがある。

つまり、地方都市それぞれが努力して、より魅力のあるものへと変貌していかないと、市民をつなぎ止められないことを意味している。本書は、そのシビックプライドのケーススタディとして、ヨーロッパの8つの都市と、2つの取り組みを紹介している。

[目次]
はじめに

■第1章 10のケーススタディ
アムステルダム:“市民こそ都市である”というメッセージ
バルセロナ:都市の未来を共有するクリエイティブなキャンペーン
ハンブルク:まちがつくられるライブ感
ニューキャッスル/ゲイツヘッド:建築とアートのデリバリー
マンチェスター:シビックプライドの基点「URBIS」ほか
ボルドー:まちの求心力としての公共空間
ブリストル:トータルな都市デザインでまちが語り始める
ブラッドフォード:都市は変われると信じる気持ちを育てる
オープンハウス:都市のリテラシーがまちへの愛着を裏付ける
英国建築都市環境委員会(CAVE):都市空間と人々の生活をつなぐ公的機関の可能性

■第2章 5つの論考
Urban Governance:シビックプライドとは何か
Design:デリバリーのためのデザイン
Landscape:パブリックライフがつくる風景
Communication:変わるコミュニケーション
Activity:シビックプライドを創る
Column:シビックプライド・プレリサーチ

■第3章 シビックプライドの育て方 (シビックプライド・マネジメントサイクル)
Planning PRIDE(誇りの種を発見する)
Designing DELIVERY(誇りの種を植える)
Checking CHANGE(誇りの芽を育て世話をする)

おわりに

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2009.12.17

▽やりがいある仕事を市場原理のなかで実現する! には?

渡邉正裕『やりがいある仕事を市場原理のなかで実現する! 』(光文社)


最近ちょっと話題になっているようなので読んでみました。

著者は、有料課金モデルのニュース・サイトMyNewsJapanを設立し、経営を軌道に乗せた渡邉正裕。日本経済新聞の記者、IBMのコンサルタントを経て、いろいろと検討を重ねた後に、MyNewsJapanを起ち上げました。

MyNewsJapanを読者のニーズに合わせたジャーナリズムとして成立させるために、二つの戦略をとります。まず、広告主への配慮をしたくないということから、広告に依存しない課金モデルを採用しました。また、一つのコンテンツを、ウェブ、雑誌、書籍と何度も「使い回し」することでコストを回収する。

では、どんなコンテンツを提供するのか? おそらく、この点での選択が、その後の成功の基礎を作ったのではないかと思います。著者は、リクルートの発想を思い起こします。つまり、お稽古ごと、就職・転職、結婚、住宅購入、車購入など……
《これらの情報は、人生の方向性にかかわる決定的に重要な情報だから必ず市場がある、というのがリクルートの発想で、それはきわめて妥当な考えだと思われた。我々の強みを活かして、人生の節目を扱えそうなものといえば――「就職・転職」しかなかった》(p.148)

こうして「就職・転職」をテーマとした連載「ココで働け! 企業ミシュラン」をキラー・コンテンツとして、ウェブと書籍への同時展開へと進んでいきます。MyNewsJapanの立ち上げから軌道に乗せるまでを、論理的にグイグイと説明していくので、読んでいて痛快な気分なってきますね。

[目次]1 なぜ今、「ビジネスモデル構築力」が必要なのか
2 やりがいある仕事でサラリーマン以上に稼ぐポイント
3 新聞記者時代に身についたこと
4 コンサルタントとして身についたこと
5 本格的なビジネスモデル構築
6 新事業スタート後の試行錯誤
7 実際の経営データ推移

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2009.12.12

▽「地球の歩き方」の歩き方

山口さやか、山口誠『「地球の歩き方」の歩き方』(新潮社)


「地球の歩き方」と言えば、誰しも一度は旅行の時にお世話になったことがあると思う。その「地球の歩き方」の創刊30年を記念して、上梓されたのが本書らしい。

もともと「地球の歩き方」は、旅行会社の販促用パンフレットとして制作されたものが市販され、じょじょにカバーする国や地域が増えていき、バックパッカーのバイブルへと成長していった。

初期の頃は、実際に、個人旅行をした学生などに原稿執筆を任せていた。面白かったのは、ライターの一人の次のような述懐。

《僕らは書いても無報酬に近かったのです。原稿料はもらっていしまた。でも、もらうとすぐに「その原稿料で、また旅行へ行っておいで」と送り出されました。旅をして、書いて、原稿料をもらったら、またそれを次の旅行につぎ込む、というサイクルを……作られてしまった。僕らの手元にはお金が残りませんでしたが、それでも好きなことをやってるからいいだろう、と思ってました》(p.141)

いまで言うCGM(Consumer Generated Media)の走りだったのだろうが、その後のマスコミによる「地球の歩き方」バッシングを経て、じょじょに、掲載される記事も信頼性を重視するように変わっていった。

本書は、「地球の歩き方」制作サイドの苦労話を軸に、1980年代の個人旅行ブームの勃興から最近までの、個人旅行や旅行業界、そしてガイドブック業界の移り変わりを振り返ることができる。

ちょっと残念なのは、インターネット時代を迎えて、旅行ガイドブックが、これからどうなっていくのかについての展望が欠けている点だろうか。

[目次]
序章 ボクらの旅を、みんなへ

第一章 「自由旅行」の原石
一 「就職ガイド」の会社――「地球の歩き方」前史の前史
二 「自由旅行」の原風景
三 ロンドンの夜
四 「自由旅行」のゆりかご――旅行説明会とマニュアルの誕生

第二章 「自由」を仕掛ける
一 強敵の出現――リクルート・ヤングツアーの参入
二 競争と差別化――眠れない夜が続く日々
三 説明会とマニュアルの到達点――非売品「地球の歩き方」の制作

第三章 「地球の歩き方」の創刊
一 「地球の歩き方」の市販化――旅行情報を開放したい
二 見たことを見たとおりに書く――初期の編集方針
三 失敗と成功――「地球の歩き方」が初めて書店に並んだ日

第四章 みんなで作るガイドブック
一 出版業と旅行業――それぞれの宝探しに奔走した四人組
二 運命のインド編――「地球の歩き方」の道を決めた第三弾
三 手探りと手作り――若き書き手たちの「歩き方」

第五章 シリーズ化への道
一 道なき道を歩く――中国の「自由旅行」とユーレイルパス
二 歩こう! ハワイ――リゾートでも、歩くガイドブック
三 投稿が開いた東南アジアへの道――新しい世代とアジアの旅

第六章 プラザ合意の波に乗って
一 「友の会」から「編集室」へ――プラザ合意前夜の体制変更
二 拡大と拡散――だんだん読者の顔が見えなくなってきた
三 貧乏旅行だけが「自由旅行」じゃない――「南の島」と「都市」

第七章 トップシェアの孤独
一 「旅行」以上「留学」未満――「自由旅行」とは違う旅の提案
二 未知の領域へ――ビジュアルで提案する旅
三 逆風に吹かれて――バッシングと苦情

第八章 世代交代のとき
一 学生旅行の変貌――DSTと旅行説明会の終着点
二 「地球の歩き方マガジン」の実験――創刊メンバーと第二世代の恊働
三 「四人組」体制の終わり――安松清の社長就任と世代交代

終章 新しい歩き方へ
一 ライバルの出現――引き戻される「貧乏旅行」イメージ
二 大リニューアル、そして新しい「地球の歩き方」へ
附 もう一つの歩き方――表紙の三〇年

あとがき
年表

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2009.12.01

▽なぜ負けたのか?――『日本「半導体」敗戦』

湯之上隆『日本「半導体」敗戦』(光文社)

本書の著者は、半導体技術者として、日立に十六年半勤務し、2002年のITバブル崩壊時に退職勧奨に応じるかたちで、研究者へと転身した。本書に書かれている著者の経歴については、ニュース・サイトJBpressのコラムでも読むことができる。

日本「半導体」の凋落とともに歩んだ技術者人生
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2229?page=5

この図の通り、著者は、日本のDRAMのシェアが世界トップの時に、技術者人生が始まり、その後、韓国に抜かれ、台湾に追いつかれそうになったところで終わりを告げる。この日本凋落の原因を、「日本の半導体産業には、過剰技術で過剰品質の製品を作ってしまう病気があるからだ」と指摘する。

そもそも、日本がDRAMで世界シェア・トップにたった時期というのは、メイン・フレームが主流で、そこで使用されるDRAMも、25年保証という高品質が要求された。この成功体験が「過剰技術、過剰品質」の病気をもたらした。

1990年代半ばになって、パソコンが普及し始めると、DRAMに求められるのは、せいぜい3年程度の品質保証であり、これに見合った低価格のDRAMを韓国メーカーが供給し始めるようになると、日本の半導体メーカーの凋落が始まる。また、日本の技術者は、技術の高度化には関心が高いが、製造コストを下げる技術への関心は薄いという。

64ページの注記には次のようにある。
《「インテルは原価から逆算して利益が出るように工程フローを開発している」という話を、自動車産業を研究している経営学者に話したところ、「そんなの当たり前じゃないか」と一蹴されてしまった》

そして著者は、こうした敗戦の原因は、経営戦略にもある、とも指摘する。1999年に日立とNECの合弁で設立されたDRAMメーカー、エルピーダは、設立当初の混乱を2002年に社長に就任した坂本幸雄の手腕で収束させるが、2008年のリーマン・ショックの影響で、2009年には、公的資金による支援を受けることになる。

こうした日本の半導体産業の凋落を、自身の体験、エルピーダ社員などへの聞き取り調査、国際比較などの豊富な事例によって、説得力のある説明をしている。

[目次]

はじめに

第1章 過剰技術、過剰品質
(1) 日本半導体業界の定説
(2) 半導体生産に関する技術には3階層ある
(3) 現在の日本の技術力は?
(4) 日本は過剰技術で過剰品質の製品を作っている

第2章 イノベーションのジレンマ
(1) 日本がDRAMで世界一になった理由
(2) 韓国のキャッチアップ
(3) 韓国に負けた日本半導体メーカーの言い訳
(4) イノベーションのジレンマとは?
(5) 日本半導体産業のジレンマ

第3章 海外高収益メーカーとの違い
(1) 利益率が低い日本半導体メーカー
(2) インテルと日本メーカーとの違い
(3) 韓国サムスン電子の組織
(4) 世界を牽引する台湾のファンドリーTSMC

第4章 自ら陥った4つのジレンマ
(1) コンソーシアムのジレンマ
(2) 合弁会社のジレンマ
(3) 日本の組織のジレンマ
(4) 日本メーカーの特許のジレンマ

第5章 装置メーカーとの共退化現象
(1) 共進化現象
(2) 露光装置
(3) 絶縁膜ドライエッチング装置

第6章 ネジクギになった半導体
(1) 世界一周してみました
(2) BRICsリポート
(3) 半導体の微細化はどこまで続くのか?
(4) 半導体の微細化が止まった世界とは?
(5) IT革命とはなにか?
(6) 半導体産業の未来

おわりに

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