2010.01.01

▽カルロス・ゴーンと鈴木修の直感のすごさ

日本経済新聞社編『大収縮 検証・グローバル危機』(日本経済新聞社)


本書は、2009年4月から9月にかけて日本経済新聞に連載された「大収縮~検証・グローバル危機」をまとめたもの。紙面に掲載された記事に加えて、割愛されたインタビューも収録されている。特に目新しい情報や裏話と言えるものは無いのですが、興味深かったのは、日産自動車社長のカルロス・ゴーンと、スズキ会長の鈴木修のインタビュー。

カルロス・ゴーン社長のインタビュー(pp.50-54)によると、「初めにおかしいと思ったのは2008年初めだった」。米国の住宅着工件数の減速や新車販売の鈍化に気づいて、2008年2月に米国で早期退職を実施。2008年6月には欧州で消費者信頼感指数が落ち始めたため、新規採用を凍結し、在庫も減らしたという。その3ヶ月後にリーマンショックは起きた。

一方、鈴木修会長のインタビュー(pp.86-88)によると、「リーマンショックの1年前の2007年秋、『何かおかしい』と感じて、在庫減らしを全社に命じた」。2008年4月からは、輸出用のクルマの船積みに会長決裁が必要とし、在庫の圧縮を図った。その結果、在庫は2008年9月までに3000億円と、1年間で1000億円圧縮できた。

この2人の直感は、やはりすごいと言わざるをえませんね。この二社と対照的なのは、トヨタで、リーマンショックの直前の段階でも北米で新工場の建設をすすめていました。

しかし、経済学者のスティグリッツ教授は、2005年春の時点で、「米国人の借金は貿易赤字でみて1営業日あたり30億ドル(3000億円)。こんな経済が長続きするとは思えない」(p.78)と語っています。まあ、この後も、リーマン・ショックまでの3年半もの間、アメリカの過剰消費バブルは続いてしまったわけですが……。

[目次]
1章 リーマン破綻「9・15」の衝撃
2章 当局の闘い
3章 GEの苦闘
4章 危機はいつから
5章 リーマン破綻から1年


|

書評2010年」カテゴリの記事