2010.03.22

▽『俺たち訴えられました!---SLAPP裁判との闘い』

烏賀陽弘道x西岡研介『俺たち訴えられました!---SLAPP裁判との闘い』(河出書房新社)


SLAPPという言葉がある。Strategic Legal Against Public Participation の略で、企業や団体や、批判的な意見を封殺するために高額の損害賠償を求める民事裁判を起こすことをさす。

本書は「オリコン裁判」で実質勝訴した烏賀陽弘道と、JR東日本の「マングローブ裁判」で係争中の西岡研介の二人によるSLAPP訴訟に関する体験に基づいた対談である。

アメリカでは28の州・地域で禁止されているSLAPP訴訟だが、日本では、企業や団体がし放題の状況にあり、言論の自由とのうまい具合のかねあいがとれていない、というのが問題と言えよう。

本書の最後には、雑誌メディアに対する名誉毀損裁判を手がける矢田次男弁護士との対談も収録されており、訴える側の考えも紹介されている。そして、ネットでの名誉毀損について矢田弁護士は、次のように語っている。

《ネットで問題なのは、人を誹謗中傷する書き込みとかブログのほとんどが匿名であること。もちろん匿名で人を誹謗中傷しても名誉毀損は成立するんだけど、そもそも匿名の書き込みの情報を人が信用するのか、という問題がある。匿名というのは、要するに怪文書みたいなものだから。ネットでの書き込みの相談について僕らは「無視したらどうですか」と勧めている。対処しても、次から次へと同様の書き込みが生まれ、イタチごっこだから。》(p.254)

《矢田――警視庁は刑事の名誉毀損罪でも捜査しますよ。
 烏賀陽――ですね。
 西岡――では、ネット上での誹謗中傷の場合は、民事訴訟を起こすより刑事告訴・告発を行うほうが手っ取り早いということなんですか?
 矢田――警視庁や各都道府県警に「サイバー隊」がいるから、そこに告訴すればいいんです。こんな名誉毀損受けました、と。そうすると警察は捜査しますよ。》(p.255)


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