2010.03.28

▽『スキャンダルを追え! 『噂の真相』トップ屋稼業』

西岡研介『スキャンダルを追え!『噂の真相』トップ屋稼業』(講談社)


ジャーナリストの持つべき資質の一つに「引きが強い」というものがあるはずだ。そんな引きの強いジャーナリストの一人が西岡研介である。

神戸新聞社の記者としてスタートし、噂の真相、週刊文春、週刊現代と渡り歩いている西岡の『噂の真相』までの体験記が本書である。実に、神戸新聞社時代には、阪神大震災や酒鬼薔薇事件と遭遇し、『噂の真相』に移ってからは、「東京高検検事長の女性スキャンダル」や「首相の買春検挙報道」などのスクープを連発する。

神戸新聞社時代については、酒鬼薔薇聖斗から送りつけられた犯行声明にまつわる舞台裏を明かしている。神戸新聞社は、犯行声明の文章だけを紙面に載せ、コピーは少年逮捕まで、公にはしていなかった。

《実際、容疑者が逮捕され、14歳の少年だと判明した途端、著名なジャーナリストや、評論家のセンセイ方は「あの犯行声明の字は、明らかに子供のものだ。あの時、神戸新聞が犯行声明をそのまま写真で公開すれば、犯人逮捕はもっと早まっていたはずだ」などと口々に批判した。が、はたしてそうだろうか。
 ……このコピーを見て、子供の可能性に言及した捜査関係者は皆無だった。またその後も、複数の記者が、犯人像を探るため、このコピーを手に複数の犯罪学者や精神科医らに密かに取材をかけたのだが、その際にもこれが少年のものであると指摘した人間は誰一人としていなかったのだ。》(p.65)


|

書評2010年」カテゴリの記事