2010.03.16

▽『ネットの炎上力』――どこからくるのか?

蜷川真夫『ネットの炎上力』(文春新書)

本書は、ネットの炎上を煽る「炎上メディア」と呼ばれるJ-CASTニュースの発行人によるもの。J-CASTニュースが創刊されたのは2006年7月で、その前後の状況から、最近の動向までを詳しく述べている。PVの推移や、よく読まれた記事が紹介されるなど、ウェブ媒体の正確なデータが乏しい現状では、資料としての価値も大きい。

《J-CASTニュースのスタートに向けて06年4月ごろからテストを始めた。編集部では、いつ100万PVいくかな、と情けないことを言っていた。すぐに1000万いけるよ、と言ったのは私だが、別に根拠があるわけではなかった。誰も信じてくれなかった。
 正式スタートした7月、月間67万4931PV。翌8月、225万5578PV、9月272万1763PV、10月には442万5867PV。
 おやおや、いけそうじゃないか。そして1年たった07年07月には1223万8991PV。なんと1年で月間1000万PVが達成できた。》(pp.105-106)

また、よく読まれた記事は以下の通り(p.137)。

1位 リア・ディゾン「局部?写真」疑惑で大騒動
http://www.j-cast.com/2007/07/10009188.html

2位 元「モー娘。」飯田のファン 「できちゃった婚」にショック画像
http://www.j-cast.com/2007/07/09009133.html

3位 激論「太田総理」で騒動 民主議員が「お詫び」
http://www.j-cast.com/2007/07/03008937.html

では、これらの記事の読者は、どこからやってきたのか?

《小さなサイトにリンクが張られ、そこから数人、数十人の単位で読者がやって来る。それがねずみ算のように広がっていく。口コミでの広がりと似ていて、サイトからサイト、ブログからブログへと広がっていった。》(p.142)

[参考]
『ネットの炎上力』の「読みどころ」を無料ダウンロード
http://www.j-cast.com/kaisha/2010/03/15062195.html

ダウンロード
http://www.j-cast.com/kaisha/images/2010/jcast_bunshun739.pdf

[目次]
1.J-CASTニュースの誕生
 インターネットメディアの影響
 新聞とインターネット
 テレビとインターネット
 ホリエモンと三木谷氏
 ブロードバンド化の流れ
 J-CASTニュースのスタート
 インターネット広告の仕組み
 連動型広告
 J-CASTニュースのコンテンツ
 技術特許の機能/プッシュ型とプル型

2.毎日新聞「変態記事事件」の衝撃
 武豊騎手のコメント誤報事件
 「小さな世論」の形成過程
 記事の賞味期限
 投稿先によるコメントの違い
 情報リーダー
 佳子様のプライベート写真
 毎日新聞「変態記事」事件
 草の根の広がり方
 ネットを基盤とした「世論」

3.ヤフーvs.グーグル 日本決戦
 「ヤフーニュース」のビジネスモデル
 「グーグルニュース」の編集方針
 それぞれの差異
 男の子牧場と変態記事
 ネット世論

4.1000万クリックでビジネス成立
 J-CASTニュースの経営
 SEO対策
 増殖の経緯
 「くまぇり」と「きっこ」
 何かのニュース

5.「炎上メディア」の汚名と名誉 ※PDFデータ公開中
 1.5次情報のコンセプト
 炎上メディア
 読者急増の仕組み
 リア・ディゾンの局部?
 サイトからサイト、ブログからブログへ
 デジタルコンテンツ
 オナニーマラソン
 匿名性
 ミドルメディアの役割
 ミニコミとブログ

6.市民記者「オーマイニュース」の失敗
 オリジナルコンテンツ
 ネット右翼
 市民記者

7.政権交代とネットニュース
 記者会見のオープン化
 自民党の会見
 記者クラブの存在
 新聞記者時代
 雑誌編集者時代
 ネットの世界へ

8.ネットvs.新聞 最終戦争
 新聞とテレビの現在
 百貨店と専門店街
 読者との距離
 新聞の未来
 米国の現状
 新しいメディアのモデル
 ネットメディアの未来


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