2010.04.06

▽『スペースシャトルの落日』

松浦晋也『スペースシャトルの落日』(エクスナレッジ)


《スペースシャトルの事故確率については一九八九年に、アメリカ政府の技術評価局(OTA)という部署が五〇分の一という数字を出した。五〇回飛行すれば一回致命的な事故が起きる可能性があるというのだ。……現在までのスペースシャトルの実績を見るならば、一一三回飛行して二回の致命的事故を起こしている。OTAとNASA、どちらが正しかったかは明らかである。OTAである。》(pp.233-234)

2005年に発行された本書は、航空・宇宙ジャーナリストの松浦晋也が、NASAが推進してきたスペースシャトルは、そもそも、そのコンセプトからして間違いであり、無駄なに複雑な構造を採用したことから、コストも安全性も犠牲にされてしまった。そのことにより、世界の宇宙開発は停滞し、二〇年以上にわたり失われてしまった、と主張する。

アポロ計画を引き継いだかたちで、始まったスペースシャトル計画は、より高度な技術ならば、予算も多く取れるだろうという打算から、再利用型シャトルというスタイルを採用したものの、これが裏目に出てしまったという。技術的な論証は、本書をご覧いただくとして、日本のIT産業のガラパゴス化、あるいは、止められない公共工事にも似た状況がアメリカの航空宇宙産業においても起きていたようだ。

[目次]
序章 二度と間違えないために
第1章 スペースシャトルはこんなもの
第2章 スペースシャトルが起こした事故
第3章 そもそも間違っていた設計コンセプト
第4章 世界中が迷惑し、だまされた
第5章 スペースシャトルの次に来るものは


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