2010.06.16

▽官邸敗北

長谷川幸洋『官邸敗北』(講談社)


昨今の政界内幕物の第一人者と言えるのが、東京新聞論説委員の長谷川幸洋だろう。本書の発売は5月20日だったが、その直後に鳩山首相が普天間問題をこじらせたことから引責辞任、そして、菅首相の登場という、まさに絶妙のタイミングで上梓された。

本書の叙述の中心をなすのは、財務省を取り込むことで事業仕分けを成功させたはずの鳩山政権が、2009年末頃から急速に財務省との関係を悪化させていった、その背景に何があったのか、である。どうやら、JALの再建を巡って、当時の菅副総理と財務省との間に軋轢があったようだ。

その後、菅が財務大臣に就任した際には、「乗数効果も知らない財務大臣」と批判されたが、この点について著者は、「財務省はその気になれば、いくらでも答弁メモを用意できたはずなのに、あえてサボったとみて間違いない」(p.44)と指摘する。財務官僚のお灸が効いた菅は、その後は、役人の書いたメモを丸読みするようになり、増税を含めた財政再建路線へと急展開していく。

民主党の掲げる「脱・官僚」は、本当に実現させることができるのでしょうか?

[目次]
第1章 官邸連続ミステリ-
第2章 民主党抱き込み工作
第3章 ド-ナツ化する政権
第4章 操縦されるマスメディア
第 5章 財政と天下りを分けるな
終章 新たな政界再編の幕が上がる

[参考]▽日本国の正体とは?
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/10/post-c558.html


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