2010.07.01

▽『腐った翼』

森功『腐った翼』(幻冬舎)

ジャーナリストの森功による、なぜJALは倒産したのかを追ったドキュメント。類書としては、AERAの大鹿靖明による『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』(朝日新聞出版)があるが、それよりもずっと詳しく、JALの経営の実態に迫っている。

▽堕ちた翼の真実
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/05/post-936b.html

JALの経営破綻の原因については、大鹿と同様に
《赤字だったJASの国内ローカル路線を引き受けたことが原因だ、と指摘する声をときおり聞く。実際は、JASとの統合が破綻理由ではない。》(p.284)
と指摘する。
《むしろ経営不振の原因はJALの国際線だ。本来、JALが飛ばしてきた国際線の赤字が、大きく経営の足を引っ張ってきた。》(p.284)

そもそもJALの倒産の遠因は、どこにあったかといえば、1985年8月12日、JALの常務会で正式に民営化を決めた日、そして、御巣鷹山に123便が墜落した日にまで遡れるという。

1986年には、1ドル=184円で十年間もの長期の為替予約を行うという民間企業ではありえないような杜撰な経営判断をした結果、巨額の隠れ負債を追うことになり、また、御巣鷹山の事故後の経営立て直しのために小説『沈まぬ太陽』のモデルの一人となった伊藤淳二を招いたことが、小説とは反対に、労使関係を複雑にしてしまうことになる。

その後も、JALの経営は迷走が続き、『腐った翼』という、いささか大仰なタイトルや、帯の「潰れて、当然。潰して、当然。」という煽り文句が誇張でもなんでもないことが良くわかる。

[目次]
プロローグ
第一章 米航空支配からの脱却
第二章 伊藤淳二の罪
第三章 封印された簿外債務
第四章 JALと自民党
第五章 クーデター
第六章 不発に終わった決起
第七草 最後の転機
第八章 庶民派社長の限界
第九章 倒産
第十章 翼は腐っていた
エピローグ


|

書評2010年」カテゴリの記事