2010.08.13

▽クライマーズ・ハイ

横山秀夫『クライマーズ・ハイ』(文春文庫)

1985年8月に起きた日航ジャンボ機墜落を地方紙の記者として取材した著者による、地方紙記者の葛藤を描いた長編小説である。

《――記録でも記憶でもないものを書くために、18年の歳月が必要だった。
 横山秀夫》

と著者自身が言うように、自身の体験を小説へと昇華させるには、これだけの時間が必要だったということが伺える。

また、昨今、小説の映像化作品は多いものの、原作の世界観をきちんと再現しながら、映像作品としての魅力を存分に発揮したのは、NHK版『クライマーズ・ハイ』しかないと思う。

体験の安直な小説化、小説の安直な映像化を許さなかったのは、日航ジャンボ機墜落という題材の重さにあったのは言うまでもないだろう。


|

書評2010年」カテゴリの記事