2010.08.03

▽『もしも義経にケータイがあったなら』

鈴木輝一郎『もしも義経にケータイがあったなら』(新潮新書)

『もしも義経にケータイがあったなら』というタイトルに惹かれて買ったのですが……。

もしも源義経の時代に携帯電話があったなら、歴史はどのように変わっていたのか、というSF的フィクションの本を期待して手に取ったのですが、中身は、義経の栄枯盛衰を、現代サラリーマンの成功と失敗になぞらえて解説する、歴史に学ぼうというスタイルのビジネス書でした。本書における「ケータイ」とは、ビジネスマン必須のアイテムを意味しているだけでした……。

しかし、著者は、歴史小説をいくつも上梓しており、またサラリーマンの経験もあるので、義経の入門書としてはわかりやすく読めるかもしれません。

[目次]
まえがき
第一章 旧体制平清盛─強大さの構築と維持の秘訣
1 平清盛の分断戦略・独占戦略・そして自己改革
2 なぜ頼朝、義経らは殺されなかったのか─巨大独占企業の自主的自衛策
3 史実以前の義経・苦労人好きの国民性

第二章 同族企業源氏一門の成長・頼朝の戦略・義経の戦術
1 もしも以仁王にファックスがあったなら─源氏蜂起から京都占拠まで●すべては以仁王からはじまった
●もしも木曾義仲にトラックがあったなら
●もしも義仲がマクレガー(X理論・Y理論)を知っていたなら
2 頼朝のマネジメント─敵を知ることと自分を知ること
●雌伏期の頼朝─敵の弱点と己の弱点を知ること
●頼朝のランチェスター戦略とコンプライアンス
●頼朝の人事管理─創業期には開拓者を、安定期には管理者を
3 義経の創業期開拓戦術
●正攻法を学ばねば奇策も生まれない─対 木曾義仲戦
●ギャンブラー将軍義経─創業期にはハイリスク&ハイリターンを

第三章 義経の失脚─同族企業から大企業への転換期を知れ
1 『ホウレンソウ』は組織人の基本─義経最初の失脚
●義経を語る史書たち
●人事音痴義経の発端─一ノ谷合戦後の独断任官
2 勢いあまって詰めまであまい─屋島合戦の強引
●社内営業名人 梶原景時
●ギャンブル大帝義経 対 社内営業名人梶原景時
●永遠の少年源義経─巨大企業の自覚のないままの壇ノ浦
3 壇ノ浦合戦後─社内営業敗北者義経
●「バクチ打ちは他人には面白く身内には迷惑」の原則─梶原景時の讒訴
●確定人事はくつがえらない─あまえんぼう将軍義経
●左遷人事は追い込みすぎるな・会社の力を自力と間違えるな─頼朝・義経のミス

第四章 勝者頼朝の安定戦略・敗者義経の敗北の美学
1 勝利者頼朝の恐怖と孤独
2 敗北者義経の人気─敗者の美学
義経関連地図


|

書評2010年」カテゴリの記事