2010.08.07

▽『普天間の謎』、『「普天間」交渉秘録』

森本敏『普天間の謎―基地返還問題迷走15年の総て』(海竜社)

普天間問題をこじらせたことが、鳩山政権崩壊の直接の引き金だったことは間違いないだろう。しかも、首相を辞任する前にアメリカと工法を決定すると約束してしまった期限の8月末が、目前に迫っており、下手をすると菅政権を立ち往生させる可能性すらはらんでいる。

『普天間の謎―基地返還問題迷走15年の総て』は、安全保障問題を専門とする森本敏が、サブ・タイトルにあるように、普天間問題の「迷走15年」を時系列に叙述した労作だ。

また、普天間問題だけでなく、その背景となるアメリカ軍の再編問題や、日米安全保障体制の基礎も理解することができる。

1995年に起きた「沖縄米兵少女暴行事件」が、普天間基地返還交渉のきっかけとなったが、その背景には冷戦終了後のアメリカの基地戦略の路線変更があったのは言うまでもない。

しかし、アメリカと交渉する側の日本も、橋本、小泉、鳩山と時の政権の思惑によってスタンスがかわるために、混迷を深めてきたことがわかる。

守屋武昌『「普天間」交渉秘録』(新潮社)

本書は、軍事専門商社から便宜供与を受けたことから収賄の罪に問われ、2007年に逮捕された元防衛事務次官(一審、二審で有罪判決。現在、最高裁に上告中)が、小泉時代の普天間交渉の舞台裏を綴っているもので、興味深い証言も多い。

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『「普天間」交渉秘録』p.350より


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