2010.08.11

▽裏金はだれのために

原田宏二『警察内部告発者・ホイッスルブロワー』(講談社)

本書は、北海道警察の釧路方面部長まで務めた著者が、北海道警察の裏金を告発した経緯を綴ったもの。

著者自身が在職時に体験した裏金作りの実態や、引退後に裏金を告発するきっかけとなった「稲葉事件」とその真相、そして、告発後に道警からかけられた圧力や、著者の告発を支援する動きなどが、詳細に綴られている。

「稲葉事件」とは、著者の元部下の刑事が、覚醒剤や銃の密輸捜査の協力者に便宜を図っていくうちに、覚醒剤を使用するようになって逮捕された事件だが、刑事がはまり込んだ泥沼の背景には、裏金の問題が横たわっていたようだ。

裏金といえば、ある種の必要悪だとする立場もあるだろうが、本書の次のようなくだりには驚かされた。

《警察の捜査費というのは、いったん、すべて裏金化され、その大半が幹部のヤミの交際費などに消えるシステムになっている。最前線の現場で働く刑事たちに、捜査費なるものはほとんど回ってこないのだ。》(pp.55-56)

[目次]
第1章 告発
第2章 稲葉事件の暗部-北海道警察が隠蔽したもの
第3章 稲葉の「告発」
第4章 裏金追及
第5章 裏金追及を阻む者たち
第6章 私の裏金実録
第7章 権力構造としての警察組織-キャリア天国、デカ地獄
第8章 いまだ「鉄のピラミッド」落城せず
寄稿
 市民オンブズマンから見た警察の不正経理問題について
 「紳士たれ!」-警察裏金事件と沈黙するメディア


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