2010.09.03

▽ベストセラー小説の書き方

ディーン・R・クーンツ『ベストセラー小説の書き方』(朝日文庫)


本書は古本屋で見つけて長い間、積ん読になっていたものです。

『ベストセラー小説の書き方』という、そのものずばりのタイトルの本書は、1960年代にSF作家としてデビューし、その後、ホラーやサスペンスへとジャンルを拡大していったディーン・R・クーンツです(あまり読んだことはないのですが……)。

アメリカで原書が出版されたのが1981年で、翻訳版が1983年(朝日文庫版は1996年刊行)と、ほぼ三十年前に書かれていて、アメリカの出版業界の実情などについては情報が古い(もちろん電子書籍なんて、これっぽっちも出てきません)のですが、この手の作家入門的な書としては、ストーリーの組み立て方や登場人物の設定の仕方、背景描写の重要性など、わりとオーソドックスな内容です。

面白い、というか、身も蓋も無かったのが文体についての次のような指摘。

《作家が本当に売らなければならない唯一のものが文体だ。すべての物語は語りつくされている。新しいプロットなどはない(ディケンズは一〇〇年前にこのことを確信していた)。われわれは古い物語の要素を新しく配列しなおしているだけなのだ。小説に新鮮味を盛りつづけている唯一のものは、ユニークな視点とユニークな語り口、つまり個性的な文体を持った新しい作家たちなのである。》(p.268)

小説に限らず、音楽や映画などを含めた、最近のコンテンツ全般がつまらなく感じるのは、前例主義に陥りすぎて、個性的な文体を持った作品が生まれにくくなっていることに原因があるのかもしれませんね。

[目次]
第一章 本書はなぜ書かれたか
第二章 偉大な名作を書く
第三章 移りかわる出版市場
第四章 ストーリー・ラインを組み立てる
第五章 アクション、アクション、アクション
第六章 ヒーローとヒロイン
第七章 信憑性のある登場人物をつくりだす
第八章 登場人物にいかにもありえそうな動機を与える
第九章 背景描写(バックグラウンド)
第十章 文体について
第十一章 SFとミステリー
第十二章 避けるべき落し穴
第十三章 書いたものをどう売るか
第十四章 読んで読んで読みまくれ

訳者あとがき


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