2010.10.31

▽『9・11の標的をつくった男』

飯塚真紀子『9・11の標的をつくった男  天才と差別―建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社)

9・11のテロによって倒壊させられたニューヨークのWTC(世界貿易センター)ビル。このビルの設計を手がけた日系人のミノル・ヤマサキ評伝で、とても興味深く読みました。

ミノル・ヤマサキがWTCの設計者の候補の一人に選ばれた理由については、複数の識者が、無名の日系人建築家というアウトサイダーであり、そのことが、貿易ビルという複数の人種が働くビルにふさわしかったから、と指摘しています。

しかし、そもそも、WTCの設計を日系人が行ったことすら、本書を読むまで、知りませんでしたが、ミノル・ヤマサキは当時のタイム誌の表紙にもなったそうです。

本書のタイトルをつけるとすれば、やはり『9・11の標的をつくった男』にせざるをえないんだろうなとは思いますが、それにしても日本人は、海外で活躍する日系人に関して冷淡な気もしますが、それはどうしてなんでしょうね。

[目次]
プロローグ
アメリカに渡った兄弟
シアトルのスラム暮らし
アラスカの“キャナリー・ボーイ”
建築家ヤマサキの誕生
空のグランド・セントラル駅
「静寂と歓喜」に目覚めた日本との出合い
光と影のマクレガー
摩天楼への道
離婚、そして再婚
世界貿易センタービルという混沌
葛藤する巨塔
栄光と引きかえに壊れた家庭
サウジ・コネクション;生涯をかけた仕事
死してなお
エピローグ


|

書評2010年」カテゴリの記事