2010.10.30

▽『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』

アンドリュー・ロス・ソーキン 『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上) 追いつめられた金融エリートたち』(早川書房、加賀山卓朗訳)

アンドリュー・ロス・ソーキン 『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下) 倒れゆくウォール街の巨人』(早川書房、加賀山卓朗訳)

米ニューヨーク・タイムズ紙の金融や企業合併専門のトップ記者である著者が、2009年9月15日のリーマン・ショックに至る舞台裏を、当時の多くの金融関係者にインタビューを行って描き出したものである。

本書の冒頭では、JPモルガンCEOが、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチ、AIG、モルガン・スタンレー、ゴールドマンサックスの倒産に備えろ、と部下に伝えるところから始まる。

この5つの金融機関の内、リーマン・ブラザーズの倒産の直接の引き金は、イギリス政府からもたらされたという。イギリスのバークレイズがリーマンの優良資産を引き継ぐという話が進んでいたが、イギリスの金融当局は「株主の承認が必要」とこれを拒んだことが、リーマン・ショックを引き起こした。

メリルリンチは、リーマン・ショックと同じ日に、バンク・オブ・アメリカに買収されることが発表された。AIGも、経営危機が表面化し、公的資金によって救済された。

モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスは、FRBの支援が受けやすい銀行持ち株会社へと移行することで、危機を乗り切った。

倒産した金融機関の経営者の証言もあり、破滅へと至る様子があまさず綴られている。一級品の歴史的記録が、これほど早く読めるのも驚きというほかない。

[目次]

『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上)』
プロローグ   大きすぎてつぶせない   
第1章  リーマン株急落   
第2章  ポールソン財務長官の怒り
第3章  NY連銀総裁ガイトナーの不安
第4章  バーナンキFRB議長の苦闘
第5章  リーマン収益報告への疑念
第6章  襲いかかる空売り
第7章  揺れるメリルリンチ
第8章  瀕死の巨人AIG
第9章  ゴールドマン・サックスの未来
第10章 ファニーメイとフレディマック株急落
第11章 リーマンCEOの焦り
第12章 倒れゆく巨大金融機関   
第13章 誰がリーマンを救うのか?

『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下)』
第13章  誰がリーマンを救うのか?(承前)
第14章  全CEO招集
第15章  リーマンの最後
第16章  AIG倒れる
第17章  モルガン・スタンレー絶体絶命
第18章  三菱UFJからの電話
第19章  揺らぐゴールドマン・サックス
第20章  ワシントンDCへの最終招集
エピローグ  リーマン・ショックのあとに  


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