2010.10.25

▽古代出雲の謎を解く

梅原猛『葬られた王朝―古代出雲の謎を解く』(新潮社)

古代日本史は、あまり詳しく無いのですが、ある週刊誌の書評欄で紹介されていたので本書を手に取りました。

まず、『古事記』や『日本書紀』で語られるいわゆる記紀神話は、高天原神話、出雲神話、日向神話の三つの神話からなっています。このうち高天原神話は、天で起きたことが語られたものであるためフィクションであることは間違いないのですが、出雲神話と日向神話もまた作り話である、と長いこと信じられてきました。

しかし、1988年に世界的に著名な人類学者レヴィ=ストロースが、「日向神話は歴史的事実を反映しているのではないか」と語ったことをきっかけに、著者は、2000年に『天皇家のふるさと日向を歩く』(新潮社)を書き、日向神話は事実を反映しているというレヴィ=ストロースの説を支持しました。

一方、出雲神話について著者は、40年ほど前に書いた『神々の流竄』においては、フィクションであるという立場をとっていました。その根拠は、出雲神話を裏付けるような大規模な遺跡がない、という事実にありました。

しかし、1980年代半ばから、出雲においても大規模な遺跡が発見されるようになり、出雲神話も歴史的事実を反映してるのではないかと著者は考えるようになりました。そして、自著『神々の流竄』を否定するために、本書『葬られた王朝―古代出雲の謎を解く』を書く決意をしたそうです。

とまあ、ここまで十分お腹いっぱいなんですが、古代史の知識がないと最後まで読むのはなかなか骨が折れるのですが、それなりの知的興奮をもたらしてくれます。まあ、古代人であっても、まったく根も葉もない嘘を、もっともらしくでっち上げるのは難しいということなんでしょうね。


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