2010.10.17

▽『冤罪法廷』

魚住昭『冤罪法廷 特捜検察の落日』(講談社)

ジャーナリストの魚住昭が、厚生労働省の村木厚子元局長の冤罪となった郵便不正事件、いわゆる『凛の会事件』を追ったもので、9月10日に、局長への無罪判決が出る前に発売されている。

魚住昭は、すでに『特捜検察の闇』において、特捜検察の堕落ぶりを指摘している。

▽2001年の時点ですでに指摘されていた特捜検察の闇
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/04/2001-1cf4.html

そもそも郵便不正事件は、民主党の政治家へとつながるはずという見立てで進められたのが頓挫し、途中で、厚労省のキャリア官僚逮捕へと、舵を切ったが、それも失敗したことが明らかになっている。

魚住は、終章において、村木元局長の弁護をつとめた弘中惇一郎弁護士に、自身が「特捜の正義」を信じていた頃の特捜部について尋ねている。

《 この問いに弘中は、少し考え込んだ末にこう答えた。
「あえて言うとするなら、以前は悪質・巧妙だった捜査が、悪質・ズサンなものになったということでしょうね」
 弘中の答えは胸にすとんと落ちた。》(p.281)

また、本書の発売前後にも、政治と検察の絡む事件が次々と起きている。

9月7日 鈴木宗男の上告を最高裁が棄却
9月10日 村木厚子元局長に無罪判決
9月14日 民主党代表選挙、検察審査会が小沢一郎「起訴相当」を密かに決議
9月21日 朝日新聞が大阪地検のFD改竄をスクープ、前田検事逮捕
9月24日 那覇地方検察庁が尖閣島問題で中国人船長を独自判断で釈放
10月1日 前田検事の上司二人が「犯人隠避」容疑で逮捕
10月4日 検察審査会が小沢一郎「起訴相当」を発表

司法があまりにも政治に介入しすぎている状況は、どうしたら改善できるのだろうか。

[参考]
▽ホリエモンが語る塀の中の暮らし
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/03/post-c16c.html
▽司法記者が見た特捜部の崩壊
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/04/post-f59a.html
▽2001年の時点ですでに指摘されていた特捜検察の闇
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/04/2001-1cf4.html
▽リクルート報道の再検証
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/11/post-e240.html
▽リクルート事件――いまなお残る疑問
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/11/post-0d34.html


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