2010.10.29

▽『菊とポケモン』

アン・アリスン『菊とポケモン―グローバル化する日本の文化力』(講談社、実川元子訳)

『菊とポケモン』(原題: MILLENIAL MONSTERS: Japanese Toys and The Global Imagination 2006 )の著者であるアン・アリスン( Anne Allison )は、東京でホステスとしても働いたことのあるアメリカの文化人類学者。

本書では、日本のポピュラー・カルチャーが、主にアメリカでどのように受容されていったかを詳述している。考察の中心は、ポケモンであるが、そのほかにもパワーレンジャー、セーラムーン、たまごっちなども、アメリカでどのように受容されていったかについて述べられている。

日本におけるポケモンの大ヒットを受けて、任天堂はアメリカへの進出を考えたが、アメリカ側の業者は、ポケモンの展開にはあまり乗り気ではなかったという。

《ポケモンには強いヒーロー的なキャラクターがいないし、マンガのテンポはスローだし、アニメ、映画と読み物のストーリーラインは複雑で、しかもゲームをもとにしたプロパティである。》(p.316)

こうしたデメリットを克服すべく、さまざまな改変が加えられたものの、それは、本来のポケモン持つテイストを壊さないように入念なものであったようだ。それがアメリカや他の国々でのポケモンのヒットにつながったことが伺える。

本書は、学術書としての水準には達しているものの、「ポケモン全米ヒットの秘密を解明!」というようなマーケティングの書を期待している向きには、読み通すのは骨が折れるかもしれない。

[目次]
第1章 魔法をかけられた商品
第2章 灰燼から立ち上がるサイボーグ-復興の時代
第3章 新世紀の日本-親密さのなかの疎外感 新世紀の親密さ
第4章 パワーレンジャー-国境を超えたスーパーヒーロー
第5章 セーラームーン-少女たちの華麗なアクションファンタジー
第6章 たまごっち-精霊となる人工装具
第7章 ポケットモンスター-ポケモンをゲットすることと資本主義とコミュニケーションをとること
第8章 「全部ゲットしちゃおう!」-米国(と世界)のポケモニゼーション


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