2010.12.18

▽『潜入ルポ アマゾン・ドットコム』

横田増生『潜入ルポ アマゾン・ドットコム』(朝日文庫)

本書は、アマゾンジャパンの物流倉庫への潜入取材を敢行して話題となった『アマゾン・ドット・コムの光と影』(2005年刊行)をベースに、最近の事情をふまえた第二部「その後のアマゾンドットコム」を追加したものである。

[参考]▽アマゾンに対するアンビバレントな気持ち
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/04/post-3aa2.html

第二部の第一章「ブックオフとの関係とアマゾンの変化」に続いて、第二章「マーケットプレイス潜入」では、せどらーとして知られる吉本康永さんも登場する。

[参考]▽村上春樹の小説とせどりのシンクロニシティ
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/05/post-def4.html

吉本さんの本書に対する感想は、ご本人のブログ「たそがれ親父のせどりノート」
で読むことができます。

[参考]たそがれ親父のせどりノート
http://d.hatena.ne.jp/tasogareoyazi/20101209/1291893062

第三章では、「電子書籍端末「キンドル」は出版を変えるか」として、2人の識者のインタビューが掲載されていますが、中でも気になるのが、植村八潮・東京電機大学出版局局長の次のようなコメント。

《電子書籍に関してはアマゾンの言うことを鵜呑みにすることは難しい。電子書籍に関するアマゾンの発表は、事実を伝えるというより、プロパガンダの側面が強いからだ。》(p.388)

巻末の解説では、一時は、オンライン古本屋を経営しながらも撤退してしまったライターの北尾トロさんが、アマゾンへの思いを吐露している。

[参考]▽『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/03/post-0cb8.html

本書を、ノンフィクションとして読んだ場合、アマゾンジャパンや関係する企業のガードが堅く、なかなか確実な証言がえられていない点は残念と言えば残念だが、それでも昨今のアマゾン礼賛の論調に対して、もう一度「光と影」を浮かび上がらせた点は評価して良いだろう。


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