2010.12.14

▽神様・手塚治虫の伴走者たち

佐藤敏章『神様の伴走者 手塚番13+2』(小学館)

漫画の神様・手塚治虫の原稿取りをした編集者13人と、手塚プロダクション社長、そして、手塚のアシスタントをつとめたことのある藤子不二雄Ⓐの証言をまとめたもの。

手塚治虫の原稿の仕上がりが遅かったのは有名な話なのですが、実際に手塚番として体験した数々の伝説が語られていて興味深く読むことができます。

以下は、目次にある各章のタイトルに、手塚番それぞれの担当雑誌と漫画名を加えたものです。

・神様を殴った男 志波秀宇(小学館・ビッグコミック)『地球を呑む』『きりひと賛歌』
・神様の孤影を見た男 黒川拓二(少年画報社・少年キング)『ノーマン』『鬼丸大将』
・神様と雲隠れした男 新井善久(講談社・少女クラブ)『火の鳥』
・神様独占を志した男 豊田亀市(小学館・少年サンデー)『スリル博士』『0マン』『キャプテンKen』『白いパイロット』
・神様の夢を叶えた男 宮原照夫(講談社・少年マガジン)『W3』『三つ目がとおる』『手塚治虫漫画全集』
・神様を信じた男   鈴木五郎(小学館・中学生の友)『流星王子』『おお!われら三人』
・神様の歌を聴いた男 池田幹生(文藝春秋・週刊文春)『アドルフに告ぐ』
・神様の弟子を育てた男 丸山昭(講談社・少女クラブ)『リボンの騎士』『火の鳥』
・神様に託された男 石井文男(虫プロ商事・COM)『火の鳥』
・神様をみやげにした男 阿久津信道(秋田書店・冒険王、漫画王)『冒険狂時代』『ぼくのそんごくう』
・神様に諭された男 鈴木俊彦(小学館・ビッグコミック)『地球を呑む
・神様を看取った男 竹尾 修(潮出版社・希望の友、少年ワールド、コミックトム)『ブッダ』『ルードウィヒ・B』
・神様の伝説に挑んだ男 松岡博治(朝日ソノラマ・サンコミックス、マンガ少年)『鉄腕アトム』『火の鳥』
・神様の遺志を継いだ男 松谷孝征(実業の日本社→手塚プロダクション)
・神様の助手を務めた男 藤子不二雄Ⓐ(安孫子素雄)

必ずしも、すべての手塚番を網羅しているわけでもなく、また、古い話も多く複数の担当者の間で証言が矛盾する「藪の中」もあるのですが、手塚治虫だけでなく、担当編集者も豪快な人物が多かったということがよくわかります。また、あとがきには、著者により、次のように総括されています。

《それでも、”ストーリー漫画=手塚治虫”の時代に始まり、手塚治虫の原稿なら何でもいいから手に入れようと狂奔する編集者像から、手塚治虫の作劇法に基本的な疑問を呈する編集者の登場まで、ひとつの時代の変遷はとらえられたかなと思っています。それは、良かれ悪しかれ、漫画をヒットさせる方法論が、編集者サイドに蓄積されていった過程でもあります。》(あとがきより)

手塚治虫については、下記の本も参考になります。

▽アニメ作家としての手塚治虫
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/05/post-fbfb.html


|

書評2010年」カテゴリの記事