2010.12.10

▽『イギリス近代史講義』

川北稔『イギリス近代史講義』(講談社現代新書)

本書は、ウォーラーステインの世界システム論と、イギリスの近代史の両方について、ある程度の知識がないと、話があっちにいったり、こっちにいったりして、ちょっとわかりにくいかもしれません。

本書の言いたいことは、巻末にある3つの表で理解できると思います。

表1イギリスの一人あたりGNP成長率
 1873~1913年 年間2%
 1924~1937年    2%強
 1951~1973年 はぼ3%

この表1には、次のような解説が加えられていいます。

《イギリスだけを見れば、「イギリス病」の時代も、成長率がとくに落ちたわけでもない。つまり、「絶対的衰退」はない。》(p.253)

また、254ページの表2と3では、イギリスのGNP成長率を、ヨーロッパ主要12ヵ国平均や、アメリカ、日本などと比較していますが、《この二つの表を見ると、イギリスの立ち後れ、つまり、「イギリス病」は、明確である。つまり、「イギリスの衰退」は、「相対的」なもので、比較の問題である。》(p.254)ということがわかります。

川北氏は、日本について、

《日本は、イギリスが近世いらい数百年にわたって経験したことを、さまざまな条件はむろんちがうのですが、ごく短い期間に追体験してきたようなところもある》(p.264)

として、イギリスの勃興とイギリスの衰退という二つの現象を同時に見ていく必要がある、と本書を結んでいます。


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