2011.01.24

▽エンパイア――横井秀樹のその後

ミッチェル・パーセル『エンパイア』(実川元子訳、文藝春秋)

エンパイア・ステート・ビルと言えば、1933年の映画『キング・コング』にも登場するアメリカを象徴する摩天楼の一つ。

そして、そのエンパイア・ステート・ビルを買収したのが、日本人の横井秀樹だったということはあまり知られていない。

横井秀樹といえば、1982年に発生したホテル・ニュージャパンの火災で、33人の死者を出したことで、ホテルのオーナーとしての責任を国会で追及された。

その後、横井は、業務上過失致死傷罪で逮捕・起訴された。一審で有罪判決が下された後、横井は自分の資産を海外に移すことを考え始めていた。そして、エンパイア・ステート・ビルが売りに出されていたことを知ると、密かにそれを購入した。1991年のことである。

艶福家としても知られる横井には、「十七人かそれ以上」の子供がいた。そして、1993年に最高裁で実刑判決が確定し、1994年に収監されると、エンパイア・ステート・ビルの所有権を巡って、その子供たちの間で、骨肉の争いが繰り広げられた。

本書は、その顛末をアメリカ人ジャーナリストのミッチェル・パーセルが取材したものでエンパイア・ステート・ビルの歴史書、横井秀樹の伝記としても読める。原著は2001年に、邦訳は2002年に出版されている。

意外なところで意外な日本人が活躍(?)していたことを知ることのできる貴重な一冊である。

[参考]▽『9・11の標的をつくった男』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/10/911-fa72.html


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