2011.01.31

▽逆転の世界史

フェリペ・フェルナンデス‐アルメスト『1492 コロンブス 逆転の世界史』(関口篤、青土社)


《思うに、筆者が専門とする研究分野での私の生涯で起きた最大の変化は、私たち歴史家が出来事の起源を長い期間にわたって探るという営為を、多かれ少なかれ放棄したという事実である》(p.383)

最近、スペインが経済危機に陥り、失業率も20%を超えるなど、大変な状況に陥っていることが報じられています。

しかし、本書を見かけて、「そういえばスペインは世界に覇を唱えていた時期もあったよなあ」と思い、手にとってみました。

著者によると、紙と印刷による情報の伝達、火薬を使った兵器、石炭を使った溶鉱炉、紙幣、科学的経験主義などは(つまり、情報通信、軍事、工業、金融、科学など)は、すべて中国に起源があるとされています。

しかし、これらの要素を結びつけて世界的なイニシアチブをとったのは、キリスト教ヨーロッパであり、その転換点は1492年のコロンブスによる、アメリカ大陸の発見だった、としています。

本書は、1492年の世界はどのような状態にあったのかを、地域別に見ていくという画期的な歴史書です。当時の日本はといえば、室町時代の末期、戦国時代の幕開けの時期で、北条早雲が小田原攻略をした段階です。

世界的には取り残されていた感はありますが、むしろ、この時期に、「発見」されなかったことは幸いだったのかもしれません。

ところで、ちょっと雑学読み物風で、ややまとまりにかける嫌いのある本書から、あえて何かの教訓を学び取るとしたら、さまざまな要素を効率よく結びつけることができたならば勝ち残れる、ということかもしれません。


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