2011.01.21

▽ワシントンハイツ――アメリカ人と日本人が遭った時

秋尾沙戸子『ワシントンハイツ―GHQが東京に刻んだ戦後』(新潮社)

ワシントンハイツ( Wshington Hights )とは、第二次大戦後に日本を占領した米軍兵士たちのために、GHQの命令によって東京・代々木に作られた住宅群のことである。

ちょうど渋谷、原宿、代々木公園、参宮橋の4つの駅で囲まれる菱形の広大な土地で、明治神宮に隣接している。ワシントンハイツができる前は、日本軍の「代々木練兵場」であったが、終戦後は、そのまま米軍のための居住地に転用された。

そして、昭和三十九年に開催された東京オリンピックの選手村が建設されるのを機に、ワシントンハイツは日本に全面返還されて、現在は、代々木公園、国立代々木競技場、NHKとなっている。

本書は、第二次大戦末期から、ワシントンハイツ返還までの代々木周辺の人々の生活を中心に叙述したもので、日米の文化比較論としても読める。

一つ一つのエピソードは、とても興味深く、意外な事実も掘り起こされていて面白いのだが、ちょっと残念なのは、大枠のストーリー、つまりテーマに当たるものが浮かび上がってこない点かもしれない。

[目次]
帝国アメリカの残像
青山表参道の地獄絵図
ある建築家の功罪と苦悩
「ミズーリ」の屈辱
乗っ取られた代々木原宿
オキュパイド・ジャパン
かくて女性たちの視線を
GHQデザインブランチ
まずは娯楽ありき
有閑マダムの退屈な日々
尋問か協力か
GHQのクリスマス
立ち上がる市民たち
諜報部員「ニセイ・リンギスト」
アイドルの誕生
瓦解したアメリカ帝国
そして軍用ヘリは舞い降りる
視界から消えた「占領」
あとがき


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