2011.01.05

▽中野坂上の雲――『キッドのもと』

浅草キッド『キッドのもと』(Gakken)

本書は、ビートたけしの弟子である漫才コンビ「浅草キッド」の水道橋博士と玉袋筋太郎が、「GetNavi」という雑誌に2007年から2010年にかけて連載していたコラムをまとめたもの。二人が、それぞれに自分の生い立ちから、ビートたけしに弟子入りした経緯、フランス座での修業時代、漫才師として独り立ちしてから、プライベートなどについて語っている。

水道橋博士は、漫才師として独り立ちする前に、ビートたけしの弟子のダンカンの付き人をしていた時期もあった。

《ダンカンさんの家があった中野坂上へと向かう日々、芸人志願の自分が、まだ何者でもないという自覚を持ちながら、道にしがみついてでも、その坂を必死でよじ登ろうとしていた。
 まさに、あの時代は、ボクの「中野坂上の雲」だ。
 青梅街道の先にむくむくと湧き上がる青雲を見つめながら、自分が目指す「芸人」とは何か、その正体が全くわからないまま、ただひたすら、あの雲を追いかけていた。》(p.115-116)

となかなか読ませる記述が随所に出てくる。また、水道橋博士のパートと、玉袋筋太郎のパートが交互に出てきて、同じ話題でも、それぞれの視点から微妙に異なる感想が綴られていて興味深い。

ただ、左ページの下角にコラムのタイトルと筆者名が記載されているだけで、読み進めているうちに、どっちが書いたコラムなのかがわからなくなってしまうので読みづらい。せめて、書き手によって書体をかえるなり、イラストやデザインなどで一見してどっちが書いたコラムなのかわからせるような工夫が欲しかった。

[目次]
●第1章 「少年時代」のもと
水道橋博士 倉敷キッド / 20世紀少年 / ゴキブリホイホイ
玉袋筋太郎 新宿キッド / マスター / あんちゃん

●第2章 「浅草キッド」のもと
水道橋博士 フランス留学 / 名付け親 / 鬼軍曹 / 職業・漫才師
玉袋筋太郎 マイ・ネーム・イズ / フランス座にいた、或る男 / 芸人免許交付 / タッグチーム

●第3章 「芸」のもと
水道橋博士 裸がユニフォーム / ルポライター芸人 / ラジオ・デイズ
玉袋筋太郎 パワースポット / 玉袋筋太郎の「異常な健康」 / つながり

●第4章 「家族」のもと
水道橋博士 同居人 / キッド / 浮気童貞 / 父親
玉袋筋太郎 もうひとつのコンビの物語 / 親子馬鹿 / 空っぽの部屋 / オヤジへのラブレター


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